実はうどんが大好き? VIVANTでも話題になったモンゴル料理の秘密をモンゴル人に聞いてみた!

モンゴル人の主食は肉? 羊と牛を良く食べる

モンゴルの代表的な料理
モンゴルの代表的な料理

編集部:早速ですが、モンゴルの主食は何ですか?

バトトゥシグさん: 大自然の中で育てた肉が有名です。豚と鶏は少なく、牛と羊、馬、そしてラクダが多いです。

編集部 : ラクダもですか!?

バトトゥシグさん : はい、ラクダも。ヤギもいますしね。

サラさん : 味付けのメインは塩です。岩塩を使って味付けをします。辛い味付けはないですね。

バトトゥシグさん : 香辛料的なものはあまりなく、簡単にいえばシンプル。現在は他の国から、日本のソースとか色々入ってきていますけど、基本は塩です。

編集部: 調理方法はどのような感じですか?

バトトゥシグさん : 煮る(茹でる)、焼く、揚げる、蒸すですね。

モンゴル料理を教えてくれるおふたり
モンゴル料理を教えてくれるおふたり

編集部 : モンゴルでは、赤い食べ物、白い食べ物なんて言い方もありますが、これは何ですか?

バトトゥシグさん : 白はチーズなどの乳製品です。夏場は馬乳酒を飲みます。これを飲むとお腹いっぱいになるので、夏場はガッツリ系をあまり食べないんです。

サラさん: 昔から医療的に見ても、日本の皆さんもそうですが、夏は涼しい食べ物を食べる。冬場はマイナス30度にもなるので、肉を食べてエネルギーを取ります。馬肉を冬場に食べるという習慣があります。

編集部 : 野菜は食べないんですか?

バトトゥシグさん : うーん、ある程度は食べますが、冬が長いので決まった野菜しか食べないかも。じゃがいも、にんじん、玉ねぎなどですね。遊牧民は畑を作ることができないので、野菜はあまり食べないです。日本のように、サラダを毎日食べるような習慣はないです。

編集部 : 他には、小麦を使った料理もあると聞きますが。

サラさん : よくピロシキのようなものは食べます。あと、焼き餃子、水餃子、揚げ餃子、焼売とか。包んで、焼く、揚げる、蒸すと、小麦粉でさまざまな形を作って食べるのが主食ですね。

編集部 : 周りの国のロシア、中国などから影響を受けた食べ物もあるということですか?

バトトゥシグさん: その影響ももちろんあります。日本のうどんもそうです。うどんはみんな大好きで、食べない国があるのが、逆に信じられないです。(笑)

うどんは小麦粉から家で作るもの
うどんは小麦粉から家で作るもの

編集部 : うどんは日本のように汁があるものですか?

バトトゥシグさん : 焼きうどんだったり、日本の普通のうどんだったり、蒸したりと、たくさんの形があります。

編集部 : ちなみに日本のうどんは美味しいと感じましたか?

バトトゥシグさん: もうこちらに来てから20年ですから、すっかり日本のうどんに慣れましたが、とても美味しいと思います。でもモンゴルのうどんも、家のお母さんのうどんがやっぱり1番美味いと思います。

サラさん : 日本のうどんはツルンとしている感じ。日本各地で、太い、細いと色々特徴がありますが、モンゴルのうどんは家で手作りなんです。お母さんが手で捏ねて、広げて。子供も7、8歳になると一緒に料理を作るので、毎日作っていました。

バトトゥシグさん : 味やコシ、太さとか、それぞれの家庭で違い、その家の味があります。塩での味付けがメインですが、焼きうどんだったり、出汁うどんだったりとさまざまです。日本は醤油が大事ですが、モンゴルは塩が大事という感じです。

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モンゴル愛が尽きないふたり
モンゴル愛が尽きないふたり

編集部 : お酒はどうですか?

バトトゥシグさん : 私はお酒が大好きです。ビールもありますし、私がいた頃はウオッカが多かったけど。今の若い人たちはワインや、ハイボールなど、色々飲んでいます。

編集部 : 結構たくさんの飲み方があるんですね。

バトトゥシグさん : 今は、たくさんの飲み方がありますね。昔ウオッカしかなかったから、たくさん飲めば身体に良くない。だから今の飲み方は良いと思います。それに馬乳酒もあります!

サラさん : 私もお酒が大好きです。馬乳酒のアルコール度数は、1.2度~5度くらいですよね、ビールと同じなので飲みやすいですよ。

バトトゥシグさん : 馬乳酒は、馬の乳を何回も混ぜながら、仕込みに何日間もかかるのですが、何リットルでも飲めます。最初飲むと下痢するのですが、これを飲むとお腹が減らない。身体にもよく、最初に悪いものを出し、掃除するような役割です。2日目、3日目からはすこぶる体調が良くなります。

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日本に来て20年のバトトゥシグさん
日本に来て20年のバトトゥシグさん

編集部: バトトゥシグさんは元力士の魁さんですよね。

バトトゥシグさん : はい、2つの部屋に所属して、最後は芝田山部屋の力士でした。今はここの広報部長も務めています。

編集部 : 力士は、モンゴルの出身の人が多いですよね?

バトトゥシグさん : 実は意外と少ないんですよ。大体700人の力士のうち、30人くらいしかいない。強い力士がたくさんいるから、そういったイメージがあるのだと思います。

編集部 : モンゴル相撲の人たちは、モンゴルでは、どのようなものを食べているんですか?

バトトゥシグさん: みんな変わらないですよ。うどんや羊を食べています。身体にとても良いですし、冬が長いモンゴルで、何百年も食べ続けられている伝統的な料理です。マイナス30度の中で、寿司は食えないので、やっぱり温かいものを食べたいじゃないですか。(笑)

サラさん : モンゴルの伝統医療では、岩塩を摂るというのは甲状腺疾患などの病気予防に良いと昔から言い伝えられていて、チンギスハンの時代から長らく食べられてきたものです。季節に合わせて、食を変えるのも大切です。夏場は、肉はあまり食べず、ヨーグルトなどの乳製品を食べ、家畜の動物から頂いたものは全て食べるという考え方です。

遊牧民と首都在住で食文化は違うの?

編集部 : 首都ウランバートルと遊牧民では食の違いはあるんですか?

バトトゥシグさん : 大きな違いはないと思います。基本的な食への考え方は一緒なんじゃないかな。ウランバートルではレストランもたくさんあって、世界の料理も食べられますし、大都会です。モンゴルというとすぐに遊牧民と思い、何もなく食べ物もないと思われがちですが、首都ではビル群が立ち並ぶ都会で、ネット環境も整い、何でもあります。

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医療的観点からも食を語るサラさん
医療的観点からも食を語るサラさん

編集部 : 最近話題になったドラマ「VIVANT」でも首都の様子が出ていました。また、遊牧民の羊と一緒に逃げるシーンで、現地警察官が羊に向かって発砲しなかったのが印象的でした。

バトトゥシグさん : 「VIVANT」はとても面白かったです。羊に向かって発砲しなかったというのは、モンゴルでは家畜をとても大切にしているからです。それはとてもいいですよね。なんでもかんでも殺すのではなく、大事にして育てているので、良い印象を残せたのかなと思います。ドラマで出てきた食事もモンゴルの一般的なもので、よく食べるものです。

編集部 : 今日はその中で出てきた料理も食べられるとのことで、楽しみにしています。