
神田明神の大鳥居横に佇む、風情ある店構え。こちらは、自家製糀を使った甘酒で有名な『天野屋』です。
創業は江戸時代末期の1846年(弘化3年)で、179年の歴史を誇ります。店舗の地下には関東ローム層を地下6mまで掘って作られた室(むろ)があり、1904年(明治37年)の建築以来、現在まで天野屋の甘酒や味噌等の糀(米こうじ)製造に使用されています。

神田明神へお参りするたびにとても気になっていた『天野屋』の趣深い木造の建物。それもそのはず、千代田区景観まちづくり重要物件に指定されているそう。
店舗は二棟に分かれており、右側が天野屋で製造する「明神甘酒」「芝崎納豆」「江戸味噌」等を販売する売店で、左側が喫茶部。やや緊張しながら喫茶部の「明神甘酒」の暖簾をくぐると、アンティークのランプやレトロ看板、鉄道模型が飾られた懐かしい空間が広がっていました。
![「明神甘酒」の暖簾が目印の喫茶部入口 [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/11/20251204-amanoya04.jpg)

時間がゆっくり流れる、なんとも落ち着く空間。訪れた日は甘酒とミニおもちを注文しました。米と糀だけで熟成させた伝統的製法で作られている甘酒は、砂糖が入っていないのが信じられないほどの甘さで、お米の粒が残り、自然発酵の力強さを感じます。しっかりと醤油の染みた磯部餅に、添えられた沢庵のきりっとした酸味が甘酒の甘さを引き立てます。

甘酒は冷・温、おもちは磯部焼かあべかわ餅を選ぶことができます。他にも、甘酒を使ったかき氷やあんみつ、みそおでん等たくさんの喫茶メニューがあり、悩む時間も楽しいです。
素朴な素材と発酵の力が生きる甘酒と磯部餅で、心もお腹も満たされるひとときでした。売店では甘酒や納豆・味噌も販売しているので、お土産にするのもおすすめです。
冷やし甘酒、俳句では夏の季語なのだとか。江戸時代には、夏の栄養補給・暑気払いとしても親しまれていたそうです。冷やしても温めても一年中楽しめる甘酒。神田明神にお参りの際は、『天野屋』伝統の甘酒でほっとひと息ついてみてはいかがでしょうか。
(撮影・文◎すずらん)
●SHOP INFO
天野屋
住:東京都千代田区外神田2-18-15
TEL:03-3251-7911
営:10:00~16:00(L.O.15:30)
休:火曜(祝日の場合は営業し、翌水曜が休み)、海の日、8月10日~8月18日
http://www.amanoya.jp/
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