早大生に愛される伝説の定食屋『キッチン オトボケ』で「ジャンジャン焼き」を食べてきた

早大生に愛される伝説の定食屋『キッチン オトボケ』で「ジャンジャン焼き」を食べてきた
食楽web

 早稲田卒の人はもちろん、早稲田で育った、または働いていた人にとって、思い出の味は何ですか?

 学生街として数多くの定食屋があった早稲田ですが、オーナーの高齢化で店を閉めたり、チェーン店の出店などで、ここ数年ですっかり様変わりしている状態。老舗そば店も、昭和レトロな純喫茶も閉店。久々に歩いてみると、すっかり変わった街の景色を実感するはずです。

 でも、そんな中にも、平成はもちろん昭和の時代からずーっと続く店が。それが『キッチン オトボケ』。穴八幡の交差点のそばにある、1973年オープンの定食店。昭和48年から早大生の胃袋を満たしてきたお店です。

 そして、ここでしか味わえない思い出の味、それが「ジャンジャン焼き」です。

「昔は男子学生ばっかりだったね~。最近は女子学生も食べに来てくれるようになったけどね」。と話すのは店長の仁平まさおさん。開店当時からずっと料理を作り続けて46年。72歳になったいまでも鉄の大きなフライパンを振っています。

「ジャンジャン焼き」大盛650+肉大盛り200、トータル850円。ゴハンはこんもり山盛り!
「ジャンジャン焼き」大盛650+肉大盛り200、トータル850円。ゴハンはこんもり山盛り!

「ジャンジャン焼き」とは、『キッチン オトボケ』のオリジナル「豚のしょうが焼き」。先代のオーナーが考えたレシピでいまも作り続けています。「だからね、卒業して何年も経った人が食べに来ても味が変わらない。作っている人も変わってないんだよね」と微笑む店主。

 学生時代に食べたあの味がまだ変わらずにある、それって10代~20代の思い出の味、青春の味ってことですよね。

肉&キャベツで331g(器の重さを除く)。縦17cm、横25cmのオーバル皿に盛り付け
肉&キャベツで331g(器の重さを除く)。縦17cm、横25cmのオーバル皿に盛り付け

 もともとは、早稲田の店ではなく、神田神保町にあった店で考案された「ジャンジャン焼き」。レシピは門外不出。昭和42~43年ごろに生まれたそうです。現在は神保町の店はなく、味わえるのはここだけとのこと。もしかして、早大生だけではなく、明大生にとっても思い出の味なのかも?

ほぼスマホと同じ高さの大盛りゴハンは高さ約16cm、重さは586g(器の重さを除く)
ほぼスマホと同じ高さの大盛りゴハンは高さ約16cm、重さは586g(器の重さを除く)

 おかずが300g台、ゴハンが約600gってことは、ゴハン2口におかず一口、時々味噌汁、がいいのかなぁ~、などと考えつつ、あたりを見回してみると、ガタイのいい学生さんがゴハンを黄色に染めている姿が。卓上に刻みタクアンがあるので、後半はゴハン・タクアン・味噌汁になっても大丈夫! 大きな体の若者が大盛りゴハンを食べる姿、なんかいいなぁ~。

「ジャンジャン焼き」は甘さ強めの甘辛味。醤油がきいているのでゴハンが進む!
「ジャンジャン焼き」は甘さ強めの甘辛味。醤油がきいているのでゴハンが進む!

 早速肉を一口! 濃いめの味付けの豚肉は、自然とゴハンが進むおいしさです。この甘さはなんだろう。ソースがもしかしたら入っている? みりん? ショウガや醤油よりも、この店ならではのオリジナル味付け。いわゆる生姜焼きではなく、う~ん。甘くてしっかり味がついたおいしい豚肉、という感じ。

 下に敷いてあるキャベツが、肉の脂と旨味をほどよくまとい、いい感じにクタッとしています。ゴハンの上にワンバウンドして食べると、肉汁やタレがゴハンにうつっていい塩梅に。ゴハン大盛りにしてよかった~。2:1でちょうどいいバランスです。

店長の仁平まさおさん。4月から新しい学生さんが食べに来るのが楽しみとのこと
店長の仁平まさおさん。4月から新しい学生さんが食べに来るのが楽しみとのこと

「もうすぐ50年になるけれど、味付けはずっと同じ。変わらぬ味を食べに来てほしいね」と話す店長の仁平さん。

「ジャンジャン焼き」のほかに人気なのは、「肉茄子炒め定食」や「カツカレー」(各600円)。「メンチカツ定食」(500円)も人気があるとのこと。ワンコインでゴハン、味噌汁、おかずなら、お金がない学生さんでも安心してお腹いっぱいになれるはず。いずれのメニューも+50円で大盛りにすることができます。

「カレー」(450円)に「カニコロッケ定食」(500円)と、どのメニューも良心的な価格で、どこか懐かしいおいしさにまた来たくなる『キッチン オトボケ』。すっかり小綺麗に様変わりした早稲田の街で、今後もずっと頑張ってほしい! と思うお店でした。

●SHOP INFO

キッチン オトボケ 外観

店名:キッチン オトボケ

住:東京都新宿区馬場下町62
TEL:03-3202-3551
営:11:00~21:30、祝日11:00~20:00(各LO)
休:日曜