フルーツの山でプリンが見えない! 高さ24cmの「プリンアラモード」
目の前にやってきたのは、フルーツの「山」。ええ~っと、フルーツパフェが来ちゃったの? それにしてもフルーツ盛りだくさん。すごいことになっています。とりあえず計測。高さはパイナップルの先端で約24cm、メロン型の陶器の器は直径13cm。
「今日はパイナップル、メロン、りんご、オレンジ、キウイ、バナナ、いちご、みかん。グレープフルーツ、缶パインと桃缶、チェリーですね」。と話すのは喫茶店のマダム・指田郁代さん。溶けないうちにまずは食べてね、ということで、食べ終わってからお話を伺うことにします。
立体的に盛り付けられたフルーツ、砂場の棒倒しじゃないけれど、食べ進め方によっては一気に崩れそうで怖い。まずは生クリームが土台になっているいちご、続いて下のフルーツにのっているポジションのバナナ、チェリーなど、土台以外のところから攻めていきます。
上にあったものをあらかた食べて、今度は手前にあるオレンジやキウイなどを食べ、土台を食べ進めていくと、バニラアイスに包まれたプリン発見! 「溶けないうちに」ってこういうことだったんですね。バニラアイスに包まれたプリンは外側がちょっと凍ってシャリッとした食感。
おそらくですが、底部にプリンとシリアル、その周りをバニラアイス、そしてアイスの上にメロンやパイナップル、オレンジなどを挿して土台を作り、その上にバナナやいちご、チェリーなどを乗せている、という構成でしょうか。倒れる心配しなくてよかったかも。
「最初はいわゆる『プリンアラモード』の定番、脚のあるボート型の器に出していたんですよ。でも10数年前に、たまたま倉庫の中からこの器が出てきて。それでこの器でパフェを出そうということになってね」と笑顔で話すマダム。今から5~6年前、若いお客さんに喜んでもらえるようにとフルーツを山盛りにした結果、それまで月に4~5回ほどのオーダーしかなかった「プリンアラモード」の美味しさが口コミで広がり、今では週末の多い日で20~30回オーダーが入る人気メニューになったとのこと。
そしてメニューに載っていない理由を聞くと「メニューに載せちゃうと、永遠に続いちゃうから」とまたにっこり。この日も予約のお客さんが大阪から新幹線に乗ってやってくるなど、遠くからも「プリンアラモード」を食べに来るお客さんがいるぐらい人気。毎日1回は予約のお客さんが来るそうで、席確保のためできれば前もって予約の連絡があるとありがたいとのこと。確かにせっかく喫茶店に来て「今日は売り切れ」というのは悲しいですしね。
ちなみに「プリンアラモード」以外に「焼きカレー」もお店の看板メニュー。テレビの企画で始めたもので、ランチタイムはコーヒー、サラダ、お味噌汁付きで800円と値段もかなり魅力的。また、昔ながらの「ナポリタン」(650円・ ドリンク付き)も、ここに来たらこれしか頼まない、という人がいるほど根強い人気のメニューとのことです。
フルーツ12種にプリンとアイスの「プリンアラモード」が800円で、「ナポリタン」がドリンク付きで650円、「焼きカレー」もセットでランチタイム800円。ものすごく良心的な価格すぎませんかね? 思わずマダムに、こんなに安くていいんですか? と聞くと「蒲田はね、高くなったら絶対ダメ。人に安く提供すると、お客さんが喜んでくれる。それがお店を支えてくれるんですよ。うちは仕出しもやっていてね、それも良心的な価格なので喜んでもらえるんですよ」。
1960年オープン、62年続く『カフェ チェリー』は、マダムの地元愛、お客様愛に溢れる良心的な価格のお店。朝11時までのモーニングも茹で卵とトースト、ジャム、ドリンクで400円と聞くと、もし近所にあったら休みの日の朝はここで決まりだろうなぁ。いや、もし近くで働いていたら週一でナポリタンランチ確定でしょう。蒲田在住・在勤の人が羨ましくなる素敵な喫茶店でした。
(取材・文◎いしざわりかこ)
●SHOP INFO
店名:カフェ チェリー
住:東京都大田区蒲田5-19-8
TEL:03-3735-3521
営:9:00~21:00 ※まん防期間中は~20:00(LO各60分前)、モーニングは~11:00
休:日曜