ザ・プレミアム・モルツは新たな境地へ

醸造家の情熱インタビュー

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革新を生むのはいつも
挑戦と試行錯誤だけ

「変化する世の中にあって、常に“プレミアム”であること」。ビール醸造家である岡賀根雄氏は、ザ・プレミアム・モルツに求める姿をそう語った。そしてそんな存在であるために、日々挑戦と試行錯誤が続けられているという。

「たとえば2012年から取り入れているダイヤモンド麦芽は、言うなればじゃじゃ馬です。個性が強く、一歩間違えると悪さがでてしまいます」。

 配合条件や粉砕する大きさが少し違うだけで、バランスが崩れることもある。その条件を見極めるのも、醸造家の挑戦だ。大規模な工場であろうと、味を決定するのは数字やデータではなく、最後は感覚。醸造家チームの議論を集約しながら、一歩ずつ山道を登るような長い道のりだ。その挑戦がいま、ひとつの節目を迎えたのだ。2012年以来5年ぶりとなる大幅リニューアルは、現在持てる力の集大成だ。

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緩やかに広がるうまみと
時間差で訪れる香り

 ザ・プレミアム・モルツの代名詞たる華やかな香りと深いコク。今回のリニューアルにあたっては、その魅力をさらに細かく分析するところから始められた。そこでまず着目したのが、時間差でやって来る香りのメカニズムだ。

「人は何かを口にするときに二度、香りを感じます。一度目は口に入れる直前の鼻に近づくとき、そして二度目は嚥下するタイミングで喉と鼻孔が繋がるとき。この二度目の香りを際立たせることを目指しました」

 その狙いは見事に形を成し、アロマホップの華やかな香りがいっそう体感できる仕上がりとなった。さらに緻密に計算された味と香りのバランスも秀逸。ビールは確かな存在感を放ちつつ食事の邪魔をしない。たとえば繊細な和食と合わせても、ビールと食事の双方の魅力をしっかり感じることができるのだ。

もちろん持ち味であるコクとうまみも健在だ。通常のビールよりもふんだんに使用する厳選麦芽、さらなる深みとうまみを加えるダイヤモンド麦芽、そして糖化工程で麦汁を2回煮出す「ダブルデコクション製法」(デコクション=加熱することで麦芽からうまみ成分を抽出する工程。この工程を2度繰り返すことで、深いコクとうまみを実現)。こうして生まれる深いコクは、力強く印象に刻まれる。

「グラスに注いで飲んで頂きたいですね。ゆったり時間をかけて、味の変化を愉しんでもらえれば」。穏やかにそう語る岡氏だが、その言葉には揺るぎない自信が垣間見える。

 次ページは、実際にザ・プレミアム・モルツに魅せられたプロのバーテンダーに、その魅力を語っていただく。

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