ワインの未来はどうなる?第一線で活躍するワインのプロ4人に聞いた

田井良樹さん(「Bar a vin MAISON CINQUABTE CINQ」責任者)
「お客さんが盛り上がる中、美味しいワインをさりげなく注ぎたい」

プロフィール…1987年生まれ。代々木上原のナチュラルなワインスタンド「バー・ア・ヴァン メゾン・サンカントサンク」の責任者。音楽好きでもある

1987年生まれ。代々木上原のナチュラルなワインスタンド「バー・ア・ヴァン メゾン・サンカントサンク」の責任者。音楽好きでもある

ロワールで気付いた
ワインのある風景

 代々木上原のビストロ「メゾン・サンカントサンク」の1Fに2015年オープンした、「バー・ア・ヴァン メゾン・サンカントサンク」。立ち飲みスタイルでヴァンナチュールを提供し、今では地元の常連客ばかりでなく海外からのゲストも多い。

 毎日店に立つ田井良樹さんは、20代前半の頃に訪れたフランス・ロワール地方でナチュラルなワインを造る生産者たちと出会い、それが人生の転機になったという。

「縁あって、ロワールの『ドメーヌ・ド・ボワ・ルカ』で働くことができまして。その後、ナントのレストランで働いているときに、『レ・ヴィーニュ・ド・ババス』をはじめとするアンジュの生産者たちと出会い、交流を深めることができたんです。彼らが造る土臭いワインやその人柄、ワインとの付き合い方に惹かれて、すっかりのめりこみました。あの頃の日々は僕の財産になっています」

「ババスの造り手・セバスチャン・デルヴューとの出会いがなければ、今の僕はないと思います」。写真はババスの「グロルン・ロール」

「ババスの造り手・セバスチャン・デルヴューとの出会いがなければ、今の僕はないと思います」。写真はババスの「グロルン・ロール」

 田井さんの店は狭い。極狭といってもいいだろう。しかし狭いがゆえの心地よさもあり、客同士が詰め合ってグラスを傾ける様は見ていて楽しくなる。田井さんはワインを注いだり、レコードをかけたりと忙しいが、店内は常にゆるりとした空気に包まれている。

「造り手たちと交流して身に染みたのは、ワインは仲間で会話を楽しんだり、音楽を楽しんだりするときの“潤滑油的な存在”だということ。それ以上でも、それ以下でもないと思うんです。オープンしたばかりの時はレアなワインを出したいなという気持ちもありましたけど、今はもうなくなりました。そんなことより、お客さん同士が盛り上がっているときに美味しいワインをさりげなく注ぎたい。僕の大好きな造り手たちもそういう楽しみ方をしてほしいと言ってましたしね。個性的なワインと自然体で向き合う、それこそがロワールで学んだ一番大切なものなんじゃないかと。いつか縁があれば、アンジュの生産者たちのワインだけを扱う店をやってみたいですね」

●SHOP INFO

Bar a vin MAISON CINQUABTE CINQ

店名:Bar a vin MAISON CINQUABTE CINQ

住:東京都渋谷区西原3-5-1 1F
TEL:非公開
営:18:00~翌1:00
休:日・月2回不定休