家でも簡単にできる! 『賛否両論』笠原シェフの「基本のだし」のとり方

笠原流お出汁のとり方

「世界には色々なお出汁があります。たとえばフォン・ド・ボー。仔牛の肉や骨、野菜をコトコトコトコト2~3時間煮てとります。しかし日本のお出汁は世界最速でとれるので、思い立ったらすぐ作れます」と笠原さん(以下同)

「海外の出汁の旨みは、ほとんどが脂です。しかし、日本のお出汁の美味しさの源は、じつは水。日本の水はとても美味しいからこそ、昆布や鰹節、煮干しなどを入れるだけで、美味しいお出汁ができるんです」

 昆布のグルタミン酸と鰹節のイノシン酸という2つの旨み成分をかけ合わせることで、相乗効果で最高に美味しいお出汁になる──というのは周知の通り。なので、用意するのは、水と昆布と鰹節。

「私がいろいろ試して、一番美味しい比率は、水1lに対し、昆布10g、鰹節30g。『賛否両論』ではたくさんの出汁を使いますが、いつもこの比率でとっています。そして昆布と鰹節の旨み成分を引き出すには適正な温度があります。昆布は60~70℃、鰹節は98℃と言われています。そこで、
(1)鍋に水を入れ、まずは昆布だけを入れて火にかけます。
(2)そして沸騰する直前に、昆布を取り出します。
(3)さらに火をかけて、沸騰したら火を止め、鰹の削り節をほぐしながら入れます。
 この時、ついかき混ぜたくなりますが、苦味やえぐみが出るので、上からおたまでそっと押さえる程度にしてください」

 こうすると、それぞれの適正な温度で旨み成分が水の中に溶け出すわけです。鰹節がお湯に沈んだら、浮いたアクをとって、キッチンペーパーなどをかけたざるで、静かに濾します。

「味噌汁や野菜を煮込むなどに使う場合は、鰹節を絞ってもOKですが、お吸い物にしたい、あるいはうどんのおつゆに使いたい、という時は、搾らない方が上品な味を楽しめます。ちなみに一度とったお出汁は、冷蔵庫で3~4日は日持ちします」

とった出汁を保存しておけば便利です
とった出汁を保存しておけば便利です

 ちなみに、イベントでは顆粒だしと笠原流のお出汁を飲み比べるコーナーもありました。そしてその味の違いにびっくり! 顆粒だしは、いつまでも後味が舌に残りますが、笠原さんのお出汁は、旨みも香りも上品で、後味もすーっと消えていくんです。「ああ、こんなに違うのか」「きちんと取ったお出汁は本当に美味しいね」と参加していた親子の皆さんも感動していました。

 お出汁をきちんととることで、改めて和食の素晴らしさを知ることができたり、また食の楽しさが広がりました。このイベントは今年秋にも開催を目標にしているそうです。ぜひ、チェックしてみてください。

(取材・文◎土原亜子)

●DATA

「食育×クイズ しょくいずアカデミー」

https://www.sanspo.com/geino/news/20190527/prl19052714330123-n1.html