『ロティ・オラン』流“ふっかふか絶品食パン”の作り方を習ってきた

可能な限り内層を揃えると、ふわふわになる

 教室では、すでに用意されたヨーグルト酵母を使って生地をこねるパートと、ヨーグルト酵母を自分で作るパートを教えてもらえます。ここでは生地をこねるパートについて紹介したいと思います。

 ビニール袋に強力粉とイーストを加えてよく混ぜます。次に、タッパーにヨーグルト酵母、塩、きび砂糖、水を入れ、ゴムベラで混ぜましょう。あとは、タッパーにビニール袋の粉類を入れてよく混ぜます。

ヨーグルト酵母を作るときに混ぜすぎるのはNG。最低限の混ぜに留める
ヨーグルト酵母を作るときに混ぜすぎるのはNG。最低限の混ぜに留める

 全体が混ざったらこね台の上に出し、均一に広げます。均一になったら、たたきごね6回を3セット。あとは、生地を広げてバターを混ぜ、軽く混ざったらたたきごね6回を3セット行います。ここまでできたら一次発酵に入ります。

生地にバターを混ぜているところ。このあと、バターを生地に練り込むようにして馴染ませていく
生地にバターを混ぜているところ。このあと、バターを生地に練り込むようにして馴染ませていく

 一次発酵は30℃で40分。最初に比べて大きさが1.5倍になればOK。そのあとは、冷蔵庫でひと晩発酵させます、このときの大きさは2.5~3倍が目安です。

左が発酵後の生地。しっかりふくらんでいるのがわかる
左が発酵後の生地。しっかりふくらんでいるのがわかる

 発酵を終えた生地を3等分にしてやさしく丸め、30℃くらいの場所で30分休ませます。ここで温度を常温に戻すのが大切なんです。

3等分にした生地は円形に伸ばしてから筒状にし、少し平らにしたら生地の左右を中央に折り込みながら俵型にする
3等分にした生地は円形に伸ばしてから筒状にし、少し平らにしたら生地の左右を中央に折り込みながら俵型にする

 あとは、きっちり張らせてしめながら俵型に整形して型に入れ、35℃で90分発酵。最後に、200℃に温めたオーブンで22~25分焼けば完成です。

グルテンが強化できていないので、きちんと“張らせてしめる”ことが大事。そうしないと形が崩れてしまう
グルテンが強化できていないので、きちんと“張らせてしめる”ことが大事。そうしないと形が崩れてしまう

 本格的なパン作りを初めて目の当たりにした感想として、温度管理の重要性を感じされられました。また、「パンはとりあえずこねればいい」というのも間違いで、必要なぶんだけこねることが、ふわふわのパン作りの秘密なのです。

酸味がもたらす意外な効用とは?

 そもそも、このパン教室では「パンに酸味を加える」ことを学びましたが、実際に食べた焼きたての食パンには、想像していたような“酸味”は感じませんでした。では、この酸味は何に役立っているのでしょうか?

 ヨーグルト酵母は、全粒粉、水、ヨーグルト、はちみつを使います。種を起こしたあとに、さらに「種継ぎ」という作業を行うのですが、小麦についていたかもしれない微生物を育てて酵母にするというのが、このヨーグルト酵母です。

左が発酵して少し膨らんだ酵母。フルーツを使った天然酵母を使う際、酵母の膨らみがたりないときはフルーツのエキスを加えるといいそうだ
左が発酵して少し膨らんだ酵母。フルーツを使った天然酵母を使う際、酵母の膨らみがたりないときはフルーツのエキスを加えるといいそうだ

 ヨーグルト酵母、つまり酸味が加わることの最大のメリットは、日持ちすること。酸味によって腐敗菌の繁殖を抑え、保存性を高められるんです。そして、乳酸も加わっているので、その酸味は単なる酸っぱさではなく、まろやかさが生まれるそう。ドイツパンの独特の酸味も、保存性を高めるためにあるのだとか。

ヨーグルト酵母で作ったパンはもっちりしており、わずかに酸味を感じる。酸味のきいた深煎りコーヒーとの相性が良さそう
ヨーグルト酵母で作ったパンはもっちりしており、わずかに酸味を感じる。酸味のきいた深煎りコーヒーとの相性が良さそう

 今回の教室に参加してみて、酵母からパン作りを考えることの面白さが学べました。次回のレッスンは「ヨーグルト酵母を使用した贅沢クグロフ」。日程は3月16日(金)、3月17日(土)で1日2回、計4回の開催です。気になる人は急いで参加予約をしてみてください!

(取材・文◎今西絢美)