予約の取れない銘店の味が楽しめる話題の最新「出張シェフサービス」を体験してみた

『鮨さいとう』が織り成す世界も認めた最高峰の味。珠玉の握りの数々

つきだしの一品「戻りガツオ」の漬け
つきだしの一品「戻りガツオ」の漬け

 この日握ってくださったのは川口蛍椰さん。大学卒業後に『鮨さいとう』の門を叩き、2022年4月から系列店である『鮨つぼみ』の大将を任されている実力派です。

 コースの内容はつきだし3品、握り11貫、巻き物、卵焼きという構成。握りは旬の魚介を使うために季節によって内容は異なるものの、基本的に白身魚2種に赤身、中トロ、大トロ、イカ、エビ、青魚やイクラ、ウニ、アナゴといった内容になっています。

 最初に登場したのは、6~8月の期間限定で提供される、「鮨さいとう」のスペシャリテである「蒸し鮑」。千葉県内房産の鮑を、昆布と塩のみで蒸し、静岡県焼津の塩を添えています。余韻の長い、ミネラル感のあるうま味が印象的で、シャルドネとピノ・ノワールを使ったシャンパーニュとよく合います。ちなみにドリンクは、基本自分で用意するスタイル。事前に依頼することでいくつかセレクトして持ってきていただくこともできます。

 柚子をふった「煮ダコ」に続き登場したのが、夏から10月ごろにかけて提供される「戻りガツオ」の漬け。塩で脱水したのち、醤油にくぐらせて脱水することで、モッチリした食感に仕上がっています。オリジナルの煮切り醤油はかつお節の香りが豊かで、脂ののった戻りガツオの良さを引き立てていました。

『やま幸』のマグロを赤身、中トロ、大トロで!

握り。マグロの「大トロ」
握り。マグロの「大トロ」

「甘鯛の酒蒸し」に続き、いよいよ握りが登場。シャリは粒立ちが良くやわらかい長野県産と秋田県産のブレンド米を使用し、赤酢に分類される琥珀酢、宮城県石巻産の塩で仕上げています。

 この日の握りは「シンコ」から始まり、一流鮨店御用達のマグロの仲卸『やま幸』から仕入れた「赤身」へと続きます。

一貫一貫が芸術品のように美しい
一貫一貫が芸術品のように美しい

 この日の赤身は宮城県塩竈産のマグロで、甘醤油で漬けています。「この時期(8月)は赤身や中トロのパワーがある」と川口さんが言う通り、身が厚いのにやわらかく、シャリに馴染む口溶けの良さ、舌に残る旨みの余韻が長く感じられました。続く中トロ、大トロも甘醤油で味付けされており、気品のある脂のコクと強い旨みにうっとりとしてしまいます。

目の前で匠の技を独り占めできる贅沢感は、出張シェフサービスならでは
目の前で匠の技を独り占めできる贅沢感は、出張シェフサービスならでは

 後半は三重県産の「アオリイカ」からスタート。アオリイカは一度冷凍して繊維を破壊し、ねっとり歯切れの良い食感です。スダチと静岡県焼津産の塩とともにいただくことで、冷凍熟成されたことによるイカの甘みが引き立ちます。

(左)北海道増毛産「ボタンエビ」。(右)淡路島産の「アジ」
(左)北海道増毛産「ボタンエビ」。(右)淡路島産の「アジ」

 続く北海道増毛産の生の「ボタンエビ」は、日本海側で育ったからかプリップリで歯切れが良く、ねっとりとした甘さが後を引くおいしさです。淡路島産の「アジ」は塩で脱水することで旨みが凝縮されていて、トッピングされたネギと生姜をすり鉢ですり潰したあたりネギという薬味が、青魚特有の臭みを消し、食欲をそそります。

 ネタは、季節ごとに旬のものを使うためボタンエビは秋以降、車エビになったり、青魚も今回はアジでしたが秋はサンマになったり、青魚に代わりイクラが登場したりするそうです。

愛媛県産の「赤ウニ」
愛媛県産の「赤ウニ」

 産地を変えて通年提供されるウニは、今回8月末までが旬と言われる愛媛県産の「赤ウニ」が登場しました。軍艦では赤ウニのファーストタッチの良さが消えてしまうということで、握りでの提供です。軽やかな口当たりながら、溶け出す濃厚でピュアな味わいに舌鼓を打ちます。

握りの締めを飾る「穴子」と「太巻き」
握りの締めを飾る「穴子」と「太巻き」

 握りの最後は、長崎県対馬の「穴子」。水と醤油、みりん、砂糖と塩だけで炊いた穴子に、穴子の煮汁にザラメを加えたツメを塗り、最後に柚子を削りかけています。下処理をしっかり行なった穴子は臭みがなく上品な脂とコクが感じられ、フワフワと口の中で解ける食感に夢見心地になってしまいます。

 最後はどんこしいたけ、玉子、漬け車海老、キュウリ、ゴマ、穴子の太巻きです。一口でさまざまな食感や旨み、みずみずしさ、香りが堪能できる満足度の高い一品でした。

上品な甘さの「卵焼き」
上品な甘さの「卵焼き」

 締めは「鮨さいとう」伝統の技が光るカステラのような見た目をした「卵焼き」です。溶き卵を二度に分けて四角い型へ流しこみ、上から炭で火入れし、下から蒸すことでプリンのようなトロットロでフワフワな食感に仕上げています。ほんのり甘さもあり、デザートのような感覚で楽しめました。

究極の食体験ができるのが、出張シェフサービスの魅力

 今回体験して感じたのは、お店でいただくよりも大将との物理的距離が近く、職人の手仕事を間近で堪能できるという贅沢さです。客も自分たちだけなので、他の方を気にせず大将との会話も楽しめるというのも出張シェフサービスならではであると感じました。

 また、料理に使用する器なども持参いただけるので、自宅などにいながらにして、お店の雰囲気を味わえるというのも魅力です。それぞれのネタも提供するタイミングがピークとなるよう、温度管理や下拵えを徹底されるなど、お店と同じクオリティの鮨が味わえるようさまざまな工夫が凝らされていました。

「バリュート百貨店」の出張シェフサービスでは『鮨さいとう』以外にも、『鮨あらい』や西麻布の紹介制非公開レストラン『マーディガン』など、予約困難店や紹介制レストランなども予約(応募多数の場合は抽選)できます。自宅でリラックスした雰囲気の中、気のおけない大切な人たちと究極の食体験を堪能してみてはいかがでしょうか?

(取材・文◎中森りほ)

●DATA

バリュート百貨店『鮨さいとう』出張シェフサービス詳細

出張可能地域:東京23区内 (※23区以外の場合、応相談)
募集人数:1日1組 8名様~12名様
価格:お1人様 33000円(税込)
出張料:東京23区内33000円(税込)

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