期間限定! 『文学とビール』展で森鴎外と味わう麦酒「モリキネビール」とは?

大充実の展示をご紹介!

文学とビール 鴎外と味わう麦酒(ビール)の話

 コレクション展『文学とビール』の展示も実に興味深いものでした。

 森鴎外が陸軍軍医としてドイツに留学したのは1884年。留学生仲間らとカフェや醸造所を訪ねたり、今では日本にも定着したビールイベント「オクトーバーフェスト」に参加したことなどが留学中の『独逸日記』に綴られています。

留学中に森鴎外が誕生日祝いに贈られたビールジョッキ。帰国後も千駄木の観潮楼(現・文京区立森鴎外記念館)の書斎に大切に飾っていたそう。(画像提供:文京区立森鴎外記念館)
留学中に森鴎外が誕生日祝いに贈られたビールジョッキ。帰国後も千駄木の観潮楼(現・文京区立森鴎外記念館)の書斎に大切に飾っていたそう。(画像提供:文京区立森鴎外記念館)

 当時、500mlジョッキ3杯が限界だったという鴎外は、25杯もあおるドイツ人の飲みっぷりに驚愕したことや、自ら被験者となって「ビールと利尿作用について」研究し、学会で発表したことなど、鴎外のさまざまなビール体験を知ることができます。

 また、来客をビールで迎えもてなしたり、お礼にビールを贈ったりと、森家とビールの関係にも触れることができます。

鴎外の妻志げが、鴎外の友人である耳鼻科医・賀古鶴所(かこつるど)に宛てた手紙。診療のお礼に浴衣とビールを贈ったと記されています。(画像提供:文京区立森鴎外記念館)
鴎外の妻志げが、鴎外の友人である耳鼻科医・賀古鶴所(かこつるど)に宛てた手紙。診療のお礼に浴衣とビールを贈ったと記されています。(画像提供:文京区立森鴎外記念館)

 鴎外と同時代の文学者たちもビールのある風景を作中に描いています。お祝いの席や晩酌シーン、酒場やカフェなど、ビールに着目して作品をひもとくと、当時の時代背景やビールの歴史(受容史)を知ることもでき、無性にビールが飲みたい衝動に駆られます。

夏目漱石『吾輩は猫である』下編では、猫がビールを飲んで酔っ払う場面も
夏目漱石『吾輩は猫である』下編では、猫がビールを飲んで酔っ払う場面も

 長引く残暑に滅入るばかりですが、やがて訪れる秋。そして秋といえば、読書の秋。文学とともにビールを味わうというのもご一興です。

(取材・文◎笹森ゆうみ)

●DATA

コレクション展「文学とビール‐鴎外と味わう麦酒(ビール)の話」

会期:開催中~10月6日(日)
住:東京都文京区千駄木1-23-4
開館時間:10:00~18:00(最終入館は閉館30分前)
観覧料:300円
https://moriogai-kinenkan.jp
※当記事の価格はすべて税込です