今年のトレンドは“インドア花見”! 「日本の酒情報館」で花見にイチオシの日本酒を聞いてきた

全国約1730社の日本酒と焼酎が試飲できる

 日本の酒情報館は、日本酒造組合中央会が運営する施設。全国約1730の日本酒、本格焼酎・泡盛などの蔵元がこの組合に所属しており、同館では常時70種類以上の日本酒を1杯100円から楽しめます。

イベント開催中は館の中央に大きな桜の木が置かれており、テーブルで日本酒を飲みながらインドア花見が楽しめる
イベント開催中は館の中央に大きな桜の木が置かれており、テーブルで日本酒を飲みながらインドア花見が楽しめる
館内で提供される日本酒のラインナップは3~4週間のサイクルで入れ替わる。これらの日本酒は購入可能だが、人気の銘柄はすぐに売り切れるそう
館内で提供される日本酒のラインナップは3~4週間のサイクルで入れ替わる。これらの日本酒は購入可能だが、人気の銘柄はすぐに売り切れるそう

 普通の酒屋でも多くて200種類ほどですが、ここを定期的に訪れれば、日本全国の日本酒の試飲と購入が可能です。同館は日本酒造組合が運営しているということもあり、人気の銘柄でも優先的に再入荷されるのだとか。

お酒だけでなく、利き猪口や日本全国の焼物の酒器なども販売されている
お酒だけでなく、利き猪口や日本全国の焼物の酒器なども販売されている
写真は滋賀県の信楽焼の酒器。これらの焼物の酒器の販売はなく展示のみだが、お酒が好きな人なら眺めるだけでも楽しめるはず
写真は滋賀県の信楽焼の酒器。これらの焼物の酒器の販売はなく展示のみだが、お酒が好きな人なら眺めるだけでも楽しめるはず

 同館で取材時に提供されていた日本酒のリストを見せてもらうと、日本全国のお酒がまんべんなくラインナップされており、さらには果実酒やみりんもありました。利き酒セットなどもあるので気軽に試せそうですね。

 あくまでも「飲みに来る場所」ではなく「日本酒を知るために試飲する場所」とのことですが、年間に2万人近くの人が来館するのだとか。月に一度は海外の人向けの試飲会を開催するなど、海外の人に向けた情報発信の場としても機能しています。

“日本酒造りのパイオニア”とも称される秋田県の「雪の茅舎」の新酒生酒など、この季節にここでしか飲めないお酒もある
“日本酒造りのパイオニア”とも称される秋田県の「雪の茅舎」の新酒生酒など、この季節にここでしか飲めないお酒もある

花見酒は春ならではの華やかなラベルや新酒に注目

 インドア花見のイベントで振る舞われるのは、10種類以上の“春酒”です、選ばれたのはピンク色のラベルがかわいらしい日本酒や、フレッシュ感のある日本酒。さらには、情報館館長自身が「飲んでみたい!おすすめしたい!」と思ったものが揃っています。

 提供メニューは下記のとおり。いずれも100円/30mlもしくは200円/60mlで提供されています(スキー正宗除く)。

・雪の茅舎 純米吟醸生 / 齋弥酒造店(秋田)……賛意と純米ならではの香味のバランスがいい。
・花見 口万 純米吟醸 / 花泉酒造(福島)……甘みと旨みが特徴。
・人気一 Rice Magic Sparkling Red / 人気酒造店(福島)……酒造好適米と古代米の紫黒枚で作ったスパークリング日本酒。
・来福 純米生酒 さくら酵母使用 / 来福酒造(茨城)……香りが華やかで、米の旨みと酸味が感じられる。
・姿 純米吟醸生 / 飯沼銘醸(栃木)……軽やかながらも旨みがある。
・七賢 春しぼり 純米 / 山梨銘醸(山梨)……米の旨みと爽やかな香り、スッキリとしたのどごしのお酒。
・鮎正宗 さくらいろ / 鮎正宗酒造(新潟)……甘酸っぱくてまろやかな純米のにごり酒。
・スキー正宗 桜カップ / 武蔵野酒造(新潟)……スッキリした後味でやや辛口。
・亀の海 春うらら 純米吟醸生 / 土屋酒造(長野)……りんごのような香り、酸味、甘みのある春酒。
・積善 純米吟醸生 / 西飯田酒造(長野)……キレがよくビターな辛口酒。
・伝心 春 純米吟醸 無濾過生 / 一本義久保本店(福井)……甘い香りとみずみずしい口当たりで、後味には酸味が感じられる。
・奥播磨 春待ちこがれて 山廃純米 / 下村酒造(兵庫)……精米度が低いので骨太で飲みごたえがある。
・ちえびじん 特別純米 / 中野酒造(大分)……吟醸香ときれいな酸味が特徴。
・博多練酒 / 若竹屋酒造場(福岡)……とろりとした舌触りで少し甘酸っぱい。アルコール度数は3%と低い。

 新酒はすっきりとした味わいなので、この季節に冷酒で飲むのにぴったり。また、「鮎正宗 さくらいろ」とソーダを1対1で割ったものにミントを加えたカクテルにして飲むという提案もありました。

さくらいろ自体は甘酸っぱくてまろやかな味わいの純米にごり酒なので、ソーダやトニックで割ると食事にも合わせやすそうな印象
さくらいろ自体は甘酸っぱくてまろやかな味わいの純米にごり酒なので、ソーダやトニックで割ると食事にも合わせやすそうな印象

 今回ピックアップされている日本酒のうち、「来福」と「積善」は桜酵母を使用しています。日本酒は協会酵母を使って作るのが一般的ですが、花には低い確率で酵母がいるそうです。その確率は、なんと1000分の1~2。そんな貴重な花酵母ですが、現在30ほどの蔵で使われており、花酵母を使った酒造りのノウハウはまだまだ発展途中だといいます。

 メディア向けのイベントでは、東京農大発のバラの花から生まれた「プリンセス・ミチコ」という酵母を使った珍しい日本酒も振る舞われました。現在クラウドファンディングでこの酵母を使った酒造りの支援者を募り、収益を災害被災地の義援金にするプロジェクトが進行しています。詳細はhttps://a-port.asahi.com/projects/nodai-project1/

左が「石鎚」(愛媛)、右が「蓬莱泉」(愛知)。いずれもバラの香りがするわけではないが、華やかな味わいのするお酒に仕上げられている
左が「石鎚」(愛媛)、右が「蓬莱泉」(愛知)。いずれもバラの香りがするわけではないが、華やかな味わいのするお酒に仕上げられている

 日本酒好きな人にとっては天国のような場所ですが、日本の酒情報館の開館時間は平日の朝10時から夜の18時までなんです。残念ながら土日祝日は休館日となっています。今回のイベントに参加できない人も折を見てぜひ足を運んでみては?

(取材・文◎今西絢美)

●SHOP DATA

日本の酒情報館 外観

施設名:日本の酒情報館

住:東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル1F
TEL:03-3519-2091
営:10:00~18:00
休:土、日、祝日、年末年始
http://www.japansake.or.jp/sake/know/data/