創業110年の料理道具の老舗『釜浅商店』が、浅草・合羽橋からパリに進出!

創業110年の料理道具の老舗『釜浅商店』が、浅草・合羽橋からパリに進出!
パリの店舗の外観のイメージ Photographs by Eric Giraudet de Boudemange | 食楽web

 浅草合羽橋に明治41年に「熊澤鋳物店」を初代・熊澤巳之助が創業したのにはじまり、1953年に現在の店名に屋号を変更しながら110年の歴史を刻んできた料理道具の専門店『釜浅商店』。

 その新たなチャレンジとして、来る5月14日にパリのサンジェルマン・デ・プレに初の海外店舗をオープンします。取り扱う商品は、和庖丁、洋庖丁、南部鉄器、本手打ち鍋、棕櫚たわし、江戸びつ、飯台、七輪、炭、耐火レンガコンロ、当たり鉢、まな板など、現代の生活でも使われている定番商品から、専門店ならではの古来の姿を残した料理道具まで約130製品、280点を予定しています。

パリ店内観のイメージ Photographs by Eric Giraudet de Boudemange
パリ店内観のイメージ Photographs by Eric Giraudet de Boudemange
熊澤大介社長
熊澤大介社長

 釜浅商店四代目である社長の熊澤大介さんによると、パリでは2014年から2017年にかけて規模を徐々に拡大しながらポップアップショップを展開。そのなかでも包丁や炭のセミナーを実施。ここで「パリのお客様たちにも受け入れられてきた」との手ごたえを実感したことに加え、時を同じくして良い物件との出会いもあったため、このタイミングでの出店を決めたそうです。

 世界の文化の中心や情報の発信地というとニューヨークやロンドンなど多数ありますが、これまでずっとパリをポップアップショップで選んできた理由は「自分たちの一番伝えたい本質の部分を理解してもらえるのでは」との思ったことと、食の都で受け入れてもらえることが、広く多くの人に知ってもらうには最適だという計算もあったそう。

「僕たちは、お客様の要望を伺い、最適なものをご提案します。ただ物を売るだけでなく、その背景も併せてお伝えする。これらのことをとても大切にしています。そうやって選んでいただいた料理道具を、愛着を持って育てていっていただくには、合羽橋と同じように、自分たちの言葉で想いを伝えていかないと実現できないと思っています」(熊澤さん)

出店場所はパリの中心部。黒い旗がつけられているのは、すでに商品の取引実績があるレストラン
出店場所はパリの中心部。黒い旗がつけられているのは、すでに商品の取引実績があるレストラン

パリで人気の商品は、棕櫚束子やバット類

棕櫚束子 9ユーロ~
棕櫚束子 9ユーロ~

 棕櫚束子については、フランスと日本のブラシの素材の違いにあるといいます。フランスでは化繊のブラシがほとんどで、天然素材の物は珍しいこと。また、ブラシの毛が直線的に付いているのに対し、棕櫚束子は放射線状に広がっているので細かい隅や届きにくい凹凸なども洗いやすいという特徴があります。これが、料理道具はもちろん、マルシェなどで購入する泥つき野菜なども洗いやすいのだそうです。

角バット 10ユーロ~
角バット 10ユーロ~

 フランスで販売するバットは深型調味用バット、ケーキバット、角バットの3型が用意されています。それぞれサイズ違いで販売されており、多いものでは6サイズあるそうです。フランスではバットのサイズがここまで豊富でなく、加えてそれぞれに蓋や網を組み合わせられたり、自分にとって使いやすいカスタマイズできる点も人気だそうです。

「弊社で販売しているプロ向けのバットやボールは、丈夫なことや縁の切断面の加工処理をしっかり行い、手で触れる所が痛くないようにしてあることなども受けた理由だと思います」(熊澤さん)

 今後のさらなる目標について、熊澤さんは「このパリ店から同じ思いを共有できる人の輪を広げて行けたら」と語ってくれました。

 浅草・合羽橋から世界に羽ばたく釜浅商店の挑戦に、これからも注目したいですね。

(取材・文◎北本祐子)

●SHOP INFO

釜浅商店 パリ店「KAMA-ASA」

オープン日:2018年5月14日(月)
住:12 Rue Jacob, 75006 Paris, France
営:月~土(水を除く) 9:30~12:00・13:00~18:00
  水 13:00~18:00 (定休日:日曜日、祝日)
現地法人:KAMA-ASA FRANCE
http://www.kama-asa.co.jp/