いま愛知県岡崎市がカレーパンで燃えている!? 有名店のカレーパンを食べてわかった人気の理由

「おかざきカレーパン」の定義は「地元食材を使用すること」!

 今回取り寄せた「おかざきカレーパン」は以下の4つ。「おかざきカレーパン」と一口に言えど、その見た目、味の構成はバラバラで、各店ともかなりの個性的なカレーパンを打ち出しています。

・『とろ~り卵のオムライスさん太』の「さん太のおかざき焼チーズカレーパン」
・『Sweets Potato芋や』の「芋やさつま芋ゴロゴロ岡崎カレーパン」
・『四季パン工房』の「米粉おかざきカレーパン」
・『石窯パン工房グランクレール』の「あっぱれ!おかざきカレーパン」

 聞けば、「カレーの餡またはパン生地に岡崎の食材(地鶏の岡崎おうはんの肉や卵、むらさき麦、八丁味噌、野菜など)を使用している」ものであれば、「おかざきカレーパン」と名乗って良いのだそうで、このため、岡崎市内のパン屋さん・飲食店を巻きこむムーブメントに発展しているとのこと。この自由で、各店の個性が打ち出せるような定義もまた、消費者にとっては食べ比べ甲斐があります。同時に「おかざきカレーパン」の盛り上がりに寄与しているようにも思いました。

 というわけで、さっそく各店渾身の「おかざきカレーパン」をいただいていきます!

『とろ~り卵のオムライスさん太』の「さん太のおかざき焼チーズカレーパン」

「さん太のおかざき焼チーズカレーパン」のパッケージ
「さん太のおかざき焼チーズカレーパン」のパッケージ

 農業が盛んな岡崎市はお米も有名ですが、パン生地にはその米粉と、名産品・八丁味噌を使ったという特製キーマカレーを入れた一品。さらに香ばしく焼きあげたチーズによって、複雑で癖になる味を醸し出しています。

 パン自体が「ちぎりパン」のように2つに分かれており、カレー餡も二層に分かれています。このことから友達やカップルで分けていただけそうな点も個性的で良いなと思いました。

『Sweets Potato芋や』の「芋やさつま芋ゴロゴロ岡崎カレーパン」

「芋やさつま芋ゴロゴロ岡崎カレーパン」
「芋やさつま芋ゴロゴロ岡崎カレーパン」

 岡崎市内で人気のさつま芋専門店が作ったさつま芋のカレーパン。八丁味噌でコクを加えたカレーにゴロゴロと入ったさつま芋が特徴です。

 さつま芋の甘さを活かし、優しい口あたりのカレーとなっており、これはこれで個性的。また、揚げパンの生地には黒胡椒を練りこむことで味をシメているような印象で、これもまた個性的でありながらバランスに優れた一品です。

『四季パン工房』の「米粉おかざきカレーパン」

「米粉おかざきカレーパン」
「米粉おかざきカレーパン」

 地元のお米「おいちのかおり」を使用した米粉のパンで、アレルギーなどの制限がある人でも安心して食べられるカレーパン。これだけを聞くと、どこまでも優しい味を想像しますが、実際に口にしてみると、パン生地はもっちり弾力があり、十分な食べ応えを感じさせてくれます。

 また、甘みとスパイシーさが見事にマッチしたカレー餡も絶品で、こちらもまた他では食べられない個性的な味だと思いました。

『石窯パン工房グランクレール』の「あっぱれ!おかざきカレーパン」

「あっぱれ!おかざきカレーパン」
「あっぱれ!おかざきカレーパン」

 そして、最後がこちら。2019年8月に開催された「第5回全国ふるさと甲子園」に岡崎市チームとして出店し、「世界に誇る逸品大賞(ごはん・パン・麺類部門)」でグランプリを受賞した「あっぱれ!おかざきカレーパン」です。

 以来、岡崎市内の飲食店・パン屋さんに「おかざきカレーパン」の定義が派生していったという重要なカレーパンとのことですが、実際にいただいてみると、確かに八丁味噌の甘味を全面に打ち出したカレー餡で、その味は極めて甘め。しかし、この甘さがヤケに癖になることと、スティックタイプのパンとのバランスも実に良く、こちらもまたカレーパンの概念を覆すような高い完成度の一品だと思います。まさに「あっぱれ!」と言いたくなる味!

ある意味、奇跡的に浸透に至った「おかざきカレーパン」の秘密

八丁味噌の蔵の様子(画像は『まるや八丁味噌』)。ご当地の食材を合わせることで独自の味を生み出す
八丁味噌の蔵の様子(画像は『まるや八丁味噌』)。ご当地の食材を合わせることで独自の味を生み出す

 このように、一口に「おかざきカレーパン」と言えど、その味・形状は様々。どれも個性的で美味しいものばかり。すでに各メディアで多く取り上げられているものの、今後はさらに派生していきそうな予感もします。

 ご当地グルメとして、かなりの好例と言って良い「おかざきカレーパン」ですが、岡崎市観光協会の方によれば、ここまでの道のりはそう容易くなかったとも。話を聞いてみました。

「岡崎市は数多くの名産の食材がありますが、『グルメ』として広めることが何故か難しい……とされていました。数年前、『岡崎まぜめん』という八丁味噌、なたね油赤水を使用した麺料理をご当地グルメとして各店舗さんが考案・販売しましたが、スムーズに浸透したとは言えない難しさがありました。

 このような課題を抱える中ですが、市内の料理人たちは地元の豊かな食材を使い、おいしいおもてなしメニューに仕上げてくださっており、『おかざきカレーパン』もその一つでした。『おかざきカレーパン』を含む岡崎市のご当地グルメ『おかざきめし』は14メニューあり、地元食材との掛け合わせにこだわったものが多く、地元の多くの人たちの心を豊かにしてくれています」(岡崎市観光協会・担当者)

「あっぱれ!おかざきカレーパン」のレビューでも触れた通り、「おかざきカレーパン」の認知が広まったのは2019年。その翌年の2020年には新型コロナウイルスの感染拡大が始まった時期であり、せっかく盛り上がった「おかざきカレーパン」の浸透に影響はなかったのでしょうか?

「確かに新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大々的にPRをすることは難しい状況でした。しかし、社会全体が外食ではなくテイクアウト中心になったことで、結果的に口コミで『おかざきカレーパン』の認知が広がり、多くの方にご賞味いただけたように思っています。

『岡崎に来たらまずカレーパン』を合言葉にしていきたいですが、岡崎市にお越しになることができない方でも店舗の中には通信販売を行うところもあります。是非多くの方に『おかざきカレーパン』を食べていただき、各店の美味しさ、個性を感じていただければ幸いです」(岡崎市観光協会・担当者)

岡崎市観光伝道師を務めるオカザえもんも「おかざきカレーパン」の応援隊長となっています
岡崎市観光伝道師を務めるオカザえもんも「おかざきカレーパン」の応援隊長となっています

 この「おかざきカレーパン」をきっかけに、岡崎市の豊かな食材を使った、いかにもウマそうなグルメ満載の「おかざきめし」全体が盛り上がることを願っています。是非今後の動向もチェックしてみてください!

(撮影・文◎松田義人)

●DATA

岡崎おでかけナビ

https://okazaki-kanko.jp/