大豆の甘みと香りに悶絶! 『湯河原 十二庵』の「できたて豆腐&総菜」が美味しい理由

「町興しがしたい」とSEから独学で豆腐屋に

法被が似合う浅沼さん。店名の「十二」は10月2日豆腐の日から。赤いロゴマークは、豆腐を盆に載せて街を歩き回る江戸の妖怪“豆腐小僧”から発想
法被が似合う浅沼さん。店名の「十二」は10月2日豆腐の日から。赤いロゴマークは、豆腐を盆に載せて街を歩き回る江戸の妖怪“豆腐小僧”から発想

 元は都内でSEの仕事をしていた浅沼宇雄さんが湯河原に店を開いたのは、12年前の2009年のこと。湯河原に帰省するたびに町が寂しくなっていると感じ、「何か安心できる素材を使って町興しができないか」と模索していそう。そんなとき、豆腐や豆乳、おからなど、さまざまに形を変える豆腐に可能性を感じ、独学で豆腐作りを始めたというから驚きです。

「最初の5年間はとにかく試行錯誤の繰り返し。7年目、やっと美味しい豆腐が作れるようになったと品評会に初出品したのですが、関東大会の予選すら通りませんでした。なぜだ、何が違うんだ、とさらに奮起して、ますます豆腐作りにはまっていきました」(浅沼さん)

大豆のよさを引き出すことが真の美味しさにつながる

絹や木綿などに使用するのは宮城が誇る高級ブランド大豆「宮城白目」
絹や木綿などに使用するのは宮城が誇る高級ブランド大豆「宮城白目」

『十二庵』の豆腐作りに使われるのは、浅沼さんが全国の大豆農家を訪ね歩いて選び抜いた国産大豆。豆腐を固めるにがりも、絹は海精にがり、木綿はひと月以上自家熟成させた特製のにがりなど、豆腐によって使い分けています。水は地元・千歳川水系の美味しい水を使っているそうです。

「青大豆とうふ」「紫蘇とうふ」などのカップ詰め作業が進む工房。11坪で始めた工房兼店舗から、2020年夏に元コンビニの建物をリノベーションし現在地に移転
「青大豆とうふ」「紫蘇とうふ」などのカップ詰め作業が進む工房。11坪で始めた工房兼店舗から、2020年夏に元コンビニの建物をリノベーションし現在地に移転

「美味しい大豆を使えば美味しい豆腐になるわけではありません。逆に、美味しくないと言われている大豆だから美味しい豆腐にならない、というのも違います。作り手がその大豆のよさをちゃんと引き出せば、甘みと香りをしっかり感じる、びっくりするほど美味しい豆腐になります」(浅沼さん)

 よさを引き出すとは具体的にどういうことかと訪ねると、「豆腐作りは基本的には料理と同じ。大豆を煮るときの火入れの仕方、固めるときの温度やにがりの量などを何通りも試して、その大豆に合わせたベストを探るんです。農家さんが作る大豆から、美味しい豆腐を作るチャンスをもらっているとも言えますね」と話してくれました。

「卯の花」300円、「汲み上げ湯葉」350円、「黒豆チーズ」350円、「青大豆とうふ」380円、「豆乳とおからの焼きどうなつ」160円
「卯の花」300円、「汲み上げ湯葉」350円、「黒豆チーズ」350円、「青大豆とうふ」380円、「豆乳とおからの焼きどうなつ」160円

 今回購入したおすすめの5品がこちら。さらにイートインだけの「できたてとうふ」も味わってきたので早速、ご紹介しましょう。