キリンウイスキー「陸」は日本ウイスキーの新基準となるか? オンライン試飲会でわかったその実力

さまざまな飲み方で「陸」の味わいを堪能

キリンウイスキー「陸」(容量:500ml、アルコール度数:50%、実売価格:1300円前後)は、スコットランドタイプ、カナダタイプ、アメリカタイプの異なる3種類のグレーン原酒を中心にブレンドして造られる
キリンウイスキー「陸」(容量:500ml、アルコール度数:50%、実売価格:1300円前後)は、スコットランドタイプ、カナダタイプ、アメリカタイプの異なる3種類のグレーン原酒を中心にブレンドして造られる

 今回、使用したソフトは「skype」。まずはキリンビール国産ウイスキー事業の戦略の説明から始まり、続いて「陸」の商品の解説へと進みます。

「陸」は、キリンが誇る富士御殿場蒸溜所で造られています。富士山の麓にあり、富士の伏流水を仕込み水に使用していることでも有名ですね。そしてこちらは、スコットランドタイプ、カナダタイプ、アメリカタイプという3タイプのグレーンウイスキーの原酒が造れる国内でも珍しい蒸溜所なんです。ということで、「陸」は蒸溜所のノウハウをフルに活用して開発されています。具体的には3つの異なるタイプのグレーン原酒と少々のモルト原酒をブレンドしているのですが、そのブレンドこそがキモなのだそう。

 いざ試飲タイムになって、「陸」を開栓してみると、たちまち濃厚かつ複雑な香りが漂います。例えるなら完熟オレンジやバニラの香り、あとはスパイシーさも感じられます。他のウイスキーに比べても香りが強めな印象です。

今回レクチャーしていただいた、ブレンダーの鬼頭英明氏
今回レクチャーしていただいた、ブレンダーの鬼頭英明氏

 モニター上に登場したブレンダーの鬼頭英明氏の解説にしたがって、まずは「陸」1:水2の割合の「ブレンダー割り」を作ります。鬼頭氏曰く、「陸」の素の美味しさを味わえる飲み方だそう。水で割ることで、より濃厚な香りが広がるのです。陸のアルコール度数は50度。飲みごたえもあります。飲みきった後も口の中で心地よい余韻が残り、ある程度経つとその余韻がさっとキレて、また口に含みたくなる……そんなウイスキーです。

「陸」の風味がストレートに楽しめるブレンダー割り
「陸」の風味がストレートに楽しめるブレンダー割り

 次はおなじみのハイボール。グラスに氷を入れた後、「陸」を足してよくかき混ぜます。氷とウイスキーの温度を近づけてから炭酸を入れるのが美味しい飲み方だとのこと。その後、マドラーで下から上へ2回ほど混ぜて完成です。炭酸と相まって爽やかかつ華やかな香りが感じられます。後味のキレもよく、味付けの濃い料理をはじめ、さまざまな料理と相性が良さそうです。「薄めのハイボールにすれば、刺し身など繊細な味の和食にもぴったりですよ」と鬼頭氏。なるほど、食事に合わせられるのは嬉しいですね。

ハイボールにすると、濃厚な香りに爽やかさがプラスされ、一気に華やぐ
ハイボールにすると、濃厚な香りに爽やかさがプラスされ、一気に華やぐ

 そして3杯目はお湯割りです。お湯割りというと「焼酎」なイメージもあり、筆者はこれまでウイスキーで試したことはなかったのですが、これ、“目からウロコ”でした。「陸」の甘みの部分が強調され、まるで別のお酒のよう。これにシナモンを少し入れたら、お菓子的なスパイシーさも味わえるということなので、寒い冬などにホットカクテル的に楽しんでも良さそうです。

「陸」のさまざまな飲み方を提案してくれるブレンダーの鬼頭英明さん
「陸」のさまざまな飲み方を提案してくれるブレンダーの鬼頭英明さん

 さらに、ミルク割りやコーラ割りなどさまざまな試飲が続きます。そして、いい感じに酔いが回ってきた頃に試飲会が終了。なるほど、美味しいのはもちろんですが、自宅にいる安心感からか、ついつい飲んじゃうんですね。オンライン飲み会は、気の緩みに気をつけねば……。

スパイスを多く使っているコーラとの相性は抜群!
スパイスを多く使っているコーラとの相性は抜群!

 かくして、いろんな飲み方を通し、「陸」の魅力を体験してみたわけですが、ハイボールだけではない、新たな楽しみ方を実現してくれるウイスキーとして大いなる可能性を感じさせてくれました。今度は自分であれこれアレンジを試してみたいと思います。なお、「陸」は飲食店などでも提供されるとのことで、こちらも期待大。また一つ、自粛解除後の楽しみが増えてしまいました。

(取材・文◎室井康裕)

●DATA

キリンウイスキー「陸」

容量:500ml
アルコール度数:50%
実売価格:1300円前後
https://www.kirin.co.jp/products/whisky_brandy/riku/