イタリアのクリスマスに欠かせない伝統菓子「パンドーロ」の楽しみ方

デコレーションパンドーロ。「デコパン」の完成!

「今回はラズベリーとブルーベリーを使いましたが、これもお好みで楽しんでください」。クリームをサンドしただけのシンプルなツリーがみるみるうちに華やかなクリスマスツリーに。

 すかさずシェフが小声でなにか歌いながら、粉雪が舞うかのごとく粉糖をふりふり。となれば、もう、あの歌しかない……(笑)。つい、こちらまでつられてしまう。雪化粧したクリスマスツリーに見入っていると、シェフがミントをあしらって仕上げに入っていたではないか。パンドーロの華麗なる変身ぶりにただただ感動なのである。

 ご覧の通り、工程はいたって簡単。パンドーロをスライスしてクリームを挟んで重ね、粉糖をふりふりして、フルーツやハーブをあしらえば、あっという間にクリスマスツリー! デコレーションパンドーロ。略してデコパンの完成!

「デコパン、楽しいと思いますよ。お子さまと一緒にできますし、みんなで集まるパーティにもオススメですよ。それからもうひとつ、スタンダードな食べ方もご紹介しますね」

これこそが、パンドーロの流儀。粉糖まみれの粉パン

 通常、パンドーロを買うと、大きなビニール袋と粉糖がセットになっている。粉糖はお好みでというイメージだし、ビニール袋は保存用の予備だろうかとも思う。スタンダードな食べ方って、ただ普通にカットして食べるだけじゃないの? と思っていたらちょっと違っていた。

「まず、別添えの大きなビニール袋にパンドーロを移し、その上に粉糖を惜しみなくたっぷり入れたら、ビニール袋の口をしっかり閉じて…」。そう言うなり、シャカシャカ振り出したではないか。忍法粉まみれの術だ。あっという間にパンドーロが雪化粧。粉糖をふりふりしたときのような粉雪の情緒はないものの、これはこれでダイナミックで愉快。

 あとは縦にカットして食べるだけ。指を、そして時には口のまわりを粉まみれにして頬張るのが本場流。イタリアでは12月初旬に購入して、ナターレになるまで朝食や軽食として少しずつ食べるのだそう。シュトーレン同様、アドベントスイーツの位置づけだ。それにしてもパンドーロの多芸さたるや! 恐れ入りました。

 最後にもうひとつ。大冠雪といった佇まいのパンドーロが登場した。シェフ、これは? 「ご縁あって広島県生口島の”たではら農園”さんのレモンを使ったリモンチェッロをお店で提供していますが、これがとても人気です。

 このレモンでなにかできないかと思って、今年はプレーンなパンドーロのほかに、スペシャルバージョンとして瀬戸内レモン風味の“パンドーロ アル リモーネ”も作りました。生地にはもちろん、アイシングにもレモンの果汁や皮を使い、しっかりとした甘酸っぱさを感じてもらえるパンドーロに仕上げました。レモン好きにはたまらないと思いますよ」

 ある時はスライスして星に、またある時は重ねてツリーに、そうかと思えば袋の中で粉にまみれてみたり、最後には立派な冬景色にと、いやはやパンドーロの華麗な変身模様にすっかり魅せられてしまった。今年のクリスマスはパンドーロ、あなたと一緒に過ごしたい。

(取材・文◎笹森ゆうみ)

●DATA

トラットリア・デッラ・ランテルナ・マジカ

トラットリア・デッラ・ランテルナ・マジカ

12月22日(金)~24日(日)は通常通りのグランドメニューと黒板メニューのほか、クリスマスメニュー(お一人様6,500円)もご用意。レストランでもデコパンをお楽しみいただけるのでご相談を。お持ち帰り用「自家製パネットーネ&パンドーロ」の販売は12月24日(日)まで。パネットーネ、パンドーロは各1,600円。パンドーロ アル リモーネ2,400円。遠方への発送もOK(配送料別途)。

●SHOP INFO

住:東京都品川区上大崎2-9-26 T&Hメモリィ1F
TEL:03-6408-1488
営:17:30~23:00(L.O)
休:日(24日は営業。翌25日は休み)