ラーメン官僚が厳選! 2022年に東京に誕生した「BESTラーメン」7選

動物系&魚介系のダシに貝の滋味が後追いする規格外の1杯|『らぁめん たかのちゅめ』(花小金井)

『らぁめん たかのちゅめ』の「しおらぁめん」
『らぁめん たかのちゅめ』の「しおらぁめん」

 オープンは2022年12月6日と、つい最近。にもかかわらず、すでに多くのラーメンマニアが店舗へと足を運び、人気店の座を不動のものにしているのがこの『らぁめん たかのちゅめ』だ。

 店主は塩田剛基氏。地方から上京し、都内の某人気店や、実力店『カネキッチンヌードル』で、足掛け7年にわたって真摯に腕を磨いた、将来が嘱望される若手ラーメン職人だ。

 現在、提供する麺メニューは、「しょうゆらぁめん」と「しおらぁめん」の2種類。共に新店離れした完成度を誇り、非の打ちどころが見当たらないが、個人的な好みで言えば「しおらぁめん」をオススメしたい。

動物系と魚介系のダシを絶妙なバランスでブレンドしたスープ
動物系と魚介系のダシを絶妙なバランスでブレンドしたスープ

 甘美な香りを立ち上らせる黄金色の清湯スープ、薄紅色に染まった豚バラチャーシュー、白くゆらめく鶏ムネ肉のコンフィ、深い緑が印象深い刻みネギ、パープル色に輝くアーリーレッドのみじん切りなど、視覚的な訴求力は十分。もちろん、ビジュアルだけではなく、味も超一流だ、

 スープ(ダシ)は、地鶏・豚背ガラ・牛骨等からなる動物系出汁と、昆布・煮干し・椎茸・宗田節・サバ節・ムール貝等から丁寧にダシを採った魚介出汁とを、絶妙なバランスでブレンドしたもの。食べ進める過程で食味を変遷させるべく、タレに蛤(はまぐり)エキスを溶け込ませるギミックも駆使する。

モッチリとした食感が比類なき存在感を放つ中細ストレート麺は、名門製麺所『三河屋製麺』謹製の全粒粉練り込み仕様
モッチリとした食感が比類なき存在感を放つ中細ストレート麺は、名門製麺所『三河屋製麺』謹製の全粒粉練り込み仕様

 すすった瞬間、3種の動物系素材(鶏・豚・牛)の重厚なうま味とコクが舌上で一体化し、口いっぱいに拡散。後を追い掛けるように、淡く上品な塩ダレの風味が快楽中枢を優しく刺激。飲み進めるうちに、貝類の後引く滋味が徐々に進撃を開始し、やがて、スープの味わいの少なからぬ割合を占拠する。

 レンゲを口に運ぶたびに新たなうま味が頭をもたげ、新鮮な感動を与えてくれる。食べ手に寄り添った1杯とは、こんなラーメンのことを指すのだろう。

●DATA

住:東京都小平市花小金井1-6-32 1F
TEL:042-966-9180
休:月曜
アクセス:西武新宿線・花小金井駅北口から徒歩4分

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。