新宿で味噌ラーメンならココ! ラーメン官僚も唸る『麺屋翔 みそ処』の至極の一杯とは?

圧倒的な存在感を醸し出す「みそらーめん」

「みそらーめん」1000円
「みそらーめん」1000円

 豚骨等の動物系素材からうま味の粋を搾り取った出汁と、4種類の味噌をブレンドしたタレとを合わせて作られる濃褐色のスープは、その佇まいを視覚に捉えた瞬間から、紛れもなく一級品であることが分かる、会心の出来映え。もちろん、肝心の味の方も、日本の味噌ラーメン最上位グループの一角にその名を連ねられるほどハイレベルです。

一口飲む度に力強いスープが、口内から胃袋へ駆け抜ける
一口飲む度に力強いスープが、口内から胃袋へ駆け抜ける

 スープを口に含んだ瞬間、舌上でビッグバンを炸裂させる味噌の滋味。そこに、香り豊かなニンニク・生姜や、スパイシーな山椒など、複数の素材の“粋”がふわりと折り重なり、豚骨・ラード油などの動物系素材が、土台としてこれらを力強く支えます。

「味噌は豚骨と非常に相性が良いので、開発当初から豚骨を味噌と並ぶ主役に据えるつもりでした。あとは、豚骨に味噌以外の素材をどう組み合わせていくか。試行錯誤を繰り返した結果、今の味ができあがりました」

 豚骨を軸に、多種多様な素材を縦横無尽に合わせることで、味に膨らみを持たせる。大橋氏の試みは、見事に成功していると言えるでしょう。個人的には、味噌という食材が持つ魅力を、食べ手を問わず、明確に理解できるような形で提示できている点が、大橋氏が手掛ける「みそらーめん」の真骨頂だと思います。

 加えて、ラード油が、スープの熱を封じ込めるフタの役割を果たし、食べ終わりまで熱々の状態がキープされる点も、特筆に値します。このスープに合わせているのが、国産小麦のみを用いた、都内の名門『菅野製麺所』の麺。

スープの味に負けていない麺
スープの味に負けていない麺

「味噌の風味に負けない、力強く甘み豊かな麺。福岡産の『チクゴイズミ』をメインとした麺を、『菅野製麺』さんと二人三脚で創り上げました」

 中細縮れ麺でありながら、確固たる存在感を誇示。過不足がまったくない適量のスープが麺に絡み、麺をすすれば、まるでスープを直接すすっているかのごとく、麺とともにスープも口元へと吸い込まれていきます。熱々のスープの中をどれだけ泳がせても、申し分のないコシとハリを保ち続ける名品です。

神業で炒めあげられたモヤシがシャキシャキで美味
神業で炒めあげられたモヤシがシャキシャキで美味

 その他、トッピングのモヤシも、しっかりと下味が施され、歯触りもシャキシャキ。単品で「おつまみ」として食べたくなるほど完成度が高く、箸休めアイテムとしての効果も十二分に発揮。気が付けば、ペロリと完食してしまっていました。

「コンセプトが異なる直営店舗は、この『みそ処』でひと段落と考えています。とにかく、この1年はこの店をブラッシュアップさせることに力を尽くしたいんです」と語る大橋氏。店主の“本気”が、丼からダイレクトに伝わってきました。大行列ができる前の今がチャンス。一刻も早く、足を運んでもらいたいと思います。

大橋望氏のプロフィール

・25歳で北海道から上京し、池袋を経て2007年4月に、現在の場所(西新宿)に『麺屋翔』を開業。
・開業後、間もない頃にTV番組「愛の貧乏脱出大作戦」に出演し、『麺屋こうじグループ』の田代浩二氏や、『麺処ほん田』の本田裕樹氏から、ラーメン職人としてのイロハを教わったエピソードは、あまりにも有名。
・2022年現在、西新宿の地に『麺屋翔本店』、『麺屋翔みなと』、『麺屋翔 みそ処』の3店舗を構える。『麺屋翔本店』で提供される塩ラーメンは、カップラーメン化されるほどの名品。
・『本店』は鶏をベースとした1杯、『みなと』は真鯛のうま味を前面に押し出した1杯、『みそ処』は豚をベースとした味噌専門店と、提供するラーメンのコンセプトは、3店舗とも異なる。

●SHOP INFO

麺屋翔 みそ処外観

店名:麺屋翔 みそ処

住:東京都新宿区西新宿7-19-9
TEL:03-6277-2521
営:11:00~15:00、18:00~20:00(L.О.19:45)
休:なし

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。