ロシア=ウォッカは誤解!? ロシア人に聞いてわかった本場の酒飲み事情

ロシアのドリンク事情を深掘り! 夏にぴったりのオススメドリンク

ロシアの夏の定番ドリンクの(左)クワスと(右)モルス
ロシアの夏の定番ドリンクの(左)クワスと(右)モルス

編集部:アルコール以外の飲み物がどうでしょう?

インナさん:夏に飲まれているドリンクといえば、「クワス」と「モルス」ですね。

ニゴラさん:「クワス」はパンの飲み物と言われています。黒パン(ライ麦のパン)と砂糖、酵母を熱湯に入れて1週間発酵させたもので、夏にぴったりな飲み物です。アルコール成分はほぼないけど、ちょっと酔っぱらうような感じがある。微妙にビールに近い感じの不思議な飲み物です。

編集部:おお、本当にビールっぽい。でもパンと言われるとパンの香りも。後ろのほうにパンがいる感じですね。

インナさん:ガスが出ているから、ちょっとソーダ感もあります。

ニゴラさん:パープルの飲み物が「モルス」。これはたくさんのベリーで作った飲み物です。数種類のベリーと砂糖を入れて煮ます。これを冷やして飲みます。

インナさん:好きなベリーを入れて調理すればいいので、自分好みのドリンクができるんです。

編集部:香りはワインみたいですね。爽やかでカシスみたいな感じもします。

ニゴラさん:これは子供も大好きなドリンクです。「モルス」は家庭でよく作られる、夏の定番の飲み物です。

ロシアのスーパーの紅茶コーナーはさすがの品揃え(ウラジオストクのスーパーで撮影)
ロシアのスーパーの紅茶コーナーはさすがの品揃え(ウラジオストクのスーパーで撮影)

編集部:あと紅茶はどうですか? 紅茶の輸入量も世界第1位ですよね。ロシアといえばロシアンティー。ジャムを入れた紅茶が有名ですね。

二人:いやいやいや。中にはジャムを入れる人たちもいますけど、普通はジャムは入れないです。

編集部:え、ジャム入れないんですか!?

インナさん:入れないです。昔はジャムを別皿にのせて、ジャムを食べながら紅茶を飲むという伝統的な習慣はあったようですが、今はそれもないです。もしかしたら、忙しい時にジャムを入れて飲んでるのを見て、間違って伝わったのかも。

編集部:なるほど。ちなみに紅茶はどういう時に飲みますか?

ニゴラさん:家族団欒の時ですね。大切な話をする時、悲しい時、嬉しい時、いつもです。紅茶に牛乳やはちみつを入れることもあります。あと一番ポピュラーな飲み方は、牛乳と紅茶を別カップに入れて交互に飲んだりします。

インナさん:そうそう、カフェオレみたいに混ぜないんです。紅茶は紅茶で、メインみたいな感じです。

ニゴラさん:だから日本に来てびっくりしたのは、ペットボトルの紅茶に全部砂糖が入っていること。紅茶はロシアではそのまま飲んでいたので、ストレートティーというのを買ったら甘かったのには驚きました(笑)

ベリーやたくさんのフルーツが入った、ビタミンたっぷりのフルーツティー
ベリーやたくさんのフルーツが入った、ビタミンたっぷりのフルーツティー

インナさん:あとは最近、ハーブティーとかフルーツティーが流行ってします。

ニゴラさん:可愛くて女性にとっても人気なんですよ。

素朴でスパイスの少ないロシア料理は食べやすく、素材を重視する日本の料理に通ずるところもあるかも
素朴でスパイスの少ないロシア料理は食べやすく、素材を重視する日本の料理に通ずるところもあるかも

 これまでのお話で、筆者が勝手に思っていた、”ウオッカを水のように飲んでいる”が違うことがわかりました。しかもロシア人の認識ではウオッカは一番胃に良いとされているとは驚きです。そして紅茶の飲み方も面白い! 混ぜて飲むことはありません。ジャムを別皿で食べながら飲んでいたのも、その昔お菓子が貴重だった頃の話。今ではたくさんのお菓子やケーキなどのスイーツがあるので、そういった飲み方はしないそうです。まだまだ知らないことが多い魅惑の国ロシア。知らないから面白い、もっとこの国が知りたくなりました。気軽に旅行できるようになったらぜひ本場で試してみたいです。

ロシア人も認めたお店はここ!

ロシア第5の都市ニジニ・ノヴゴロドの出身のユリア店長は日本語もok
ロシア第5の都市ニジニ・ノヴゴロドの出身のユリア店長は日本語もok

 今回協力してもらったお店は、『スカズカ』。オープンは2008年、本格的なロシア料理が食べられると人気の店。ウラジオストク出身のシェフが作る料理はロシアの家庭料理が中心でメニューも多く、ロシアのビールやウオッカなどお酒も豊富。本場さながらの味が楽しめます。店内のマトリョーシカやロシアの民族衣装の装飾と、スタッフの衣装もかわいくて、女子ウケすること間違いなし!

●SHOP INFO

店名:スカズカ(SKAZKA)

住:東京都墨田区江東橋 4-19-12 近代ビル2F
TEL:03-3632-5772
営:18:00~24:00
休:日曜

●著者プロフィール

矢巻美穂(やまき・みほ)
国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国などのフォトガイドブックを執筆。近著の、東京と東京近郊で見つける「台湾」を取材した『東京で台湾さんぽ』(イカロス出版)が大好評。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。これまで取材に行って、本当に美味しかった店や行ってよかった人気スポットを紹介。