すでに連日大行列! ラーメン官僚が推す『中華そば たた味』(小伝馬町)の「スタミナ中華」が旨すぎる!

食べるほどに旨みが押し寄せる「スタミナ中華」とは?

「スタミナ中華 セット(生卵1個・半ライス付)」1000円(単品は880円)
「スタミナ中華 セット(生卵1個・半ライス付)」1000円(単品は880円)

 現在、同店が提供するラーメンは、「スタミナ中華」「辛スタミナ中華」と、それぞれの特製バージョン。デフォルトを頼んでも構いませんが、生卵1個と半ライスが付いた「セット」を頼むのがおススメです。私は、「スタミナ中華セット」を注文させていただきました。

 ラーメンは、青森を代表する激辛ネギラーメンの名店『あさ利』へのオマージュを込めたもの。屋号の『たた味』も、漫画「あさりちゃん」の主人公・浜野あさりの姉の名前(タタミ)から採ったものです。

 しかしながら、『たた味』の1杯は、単なる『あさ利』の模倣にとどまるものではありません。

「スープは、都内の方々の嗜好に合わせて甘さを抑え、代わりに、コクを最大限演出しました。また、青森のラーメンは細麺が主流ですが、こちらでは、ガッツリ系つけ麺に多用される存在感のある太麺を採用しています」と、店主・吉野氏が語るとおり、『あさ利』の魅力を、自分なりにしっかりと把握・分析した上で、オリジナリティのある1杯を創り上げています。

炒めタマネギ、刻みにんにく、刻みしょうが、味付背脂、自家製香唐辛子などのトッピングも超優秀
炒めタマネギ、刻みにんにく、刻みしょうが、味付背脂、自家製香唐辛子などのトッピングも超優秀

 この1杯から垣間見える店主の独創性は、それだけに止まりません。スープにプカリと浮かぶタマネギは、千葉県のご当地麺のひとつ『アリランラーメン』から着想を得て、中華鍋でじっくりと炒め、ナチュラルな甘みを極限まで引き出したもの。

 また、「無料トッピング」として用意される、「刻みにんにく」「刻みしょうが」「あぶら(味付背脂)」「からめ(自家製香唐辛子)」の増量システムは、吉野店主の修業先のひとつであるガッツリ系ラーメンの名店『ジャンクガレッジ』のそれを応用したものです。

 スープは、各種素材の持ち味を的確に捉えた上で、動物系素材(豚・鶏・牛)の骨と肉を大量に寸胴へと投入し、日高昆布・煮干し・香味野菜等をバランス良く掛け合わせたもの。スープに合わせる炒め油として寸胴の上澄み油を使用することで、豚・鶏・牛の三銃士による、盤石の“トロイカ体制”を構築しています。

卓上に丼が供された瞬間から、丼から放たれる芳醇な香りが食欲を刺激し、記録のためにデジカメで画像を撮影する時間さえ惜しまれるほど
卓上に丼が供された瞬間から、丼から放たれる芳醇な香りが食欲を刺激し、記録のためにデジカメで画像を撮影する時間さえ惜しまれるほど

 逸る気持ちを抑えながらスープをひと口啜ると、動物系素材の重厚なコクと、カエシの上質な風味が舌上で融合し、うま味の砲弾となって味覚中枢を直撃。スープに自ずと織り交ざる炒めタマネギの豊潤な甘みも、スープの魅力をググっと押し上げています。

「無料トッピング」でオーダーした、香味鮮烈なニンニクや、甘辛い下味が丁寧に施された背脂も、レンゲを持つ手の動きを速める役割を全う。オープンからまだ1ヶ月余りの新店とは到底思えない隙のない仕上がり具合に、驚きを隠し切ることができませんでした。

 麺は、都内を代表する名門製麺所のひとつ『浅草開化楼』のチーメンを使用。製麺所担当者と、『たた味』のスープに最適な茹で加減など、きめ細やかな調整を重ねた上で提供される麺は、けん引力のあるスープに負けず劣らずの存在感を放ち、食べ手を大いに魅せます。

「スタミナ中華」に牛もつ3つとチャーシュー2枚が乗った「特製スタミナ中華(生卵1個・半ライス付)」1280円(単品は1160円)も人気
「スタミナ中華」に牛もつ3つとチャーシュー2枚が乗った「特製スタミナ中華(生卵1個・半ライス付)」1280円(単品は1160円)も人気

 丼から直に麺を啜りながら、また、時折、溶かした生卵にスープを加えた小鉢に麺を浸す「すき焼き風」の食べ方を試しながら食べ進めていくと、いつの間にか丼が空っぽに。