ネオクラシック中華そばの新星!『麺屋 龍』(足立区)の毎日食べたくなる醤油ラーメンとは?

素材の味を極限まで引き出した洗練された醤油ラーメン

「臥龍(醤油)」800円
「臥龍(醤油)」800円

 現在、『麺屋龍』が提供する麺メニューは、醤油ラーメンの「臥龍」、塩ラーメンの「蒼龍」を筆頭に、「九頭龍(まぜそば)」や、季節限定メニューの「土龍(味噌)」など。

 いずれのメニュー名にも、店主の名の「龍」の字が織り込まれているのは、同店主のこだわり。口にするだけで運気がもらえそうな気がするのは、私だけでしょうか。

 基本メニューは、「臥龍(醤油)」です。スープを構成する素材は、鶏ガラ・豚背ガラ・丸鶏・鰹・煮干し・昆布など。

 手間ひまを惜しまずに「それぞれの素材の持ち味を最大限活かし切るため、素材ごとに別々に出汁を採った後、それらを合わせてスープをつくります。加えて、丸鶏の出汁は、芳醇な風味と奥深いうま味を演出するために、一昼夜寝かせるようにしています」とのこと。

 そのような過程を経て創られたスープは、店主がおっしゃるとおり、確かに、天然素材の魅力が余すところなく引き出され、それぞれの素材から抽出されたうま味同士がしっかりと手を握り合っています。

オーソドックスでありながら十分な出汁感が、老若男女を問わず、食べ手に深い印象を刻むスープ
オーソドックスでありながら十分な出汁感が、老若男女を問わず、食べ手に深い印象を刻むスープ

 序盤は、鶏・豚の豊潤なコクが先行し、食べ進め、スープ温が低下するにつれて徐々に浮かび上がる鰹・煮干しの和風味。うま味の主役が刻々と変遷するスープにはストーリー性があり、最後まで食べ飽きることがありません。

 このスープに合わせる麺は、スープとの相性を考え抜いて大田区の『東京製麺』から取り寄せたもの。

 細麺は、「春よ恋」を100%使ったもので、手揉み麺は、日本を代表するラーメンの街・福島県喜多方出身の製麺所工場長の試行錯誤の集大成です。

 特筆すべきポイントは、それだけではありません。手揉み麺は、メリハリ豊かな食感を演出すべく、注文を受けるたびに店主自身が手揉みを施した上で提供されます。

 瑞々しい多加水麺は、まるでスープの一部と化したかのようにスープと良く馴染み、抵抗なく胃袋へと収まっていきます。手揉みがもたらす食感の心地良さに、麺を啜る醍醐味を改めて実感させられました。

 トッピングのチャーシューも、なるべく断面が大きくなるようカットの仕方を工夫するなど、「なるべくお腹いっぱいになりたい」という、食べ手の立場に立ったオペレーションを敢行。

 食後、店を出る頃には「近々『臥龍(醤油)』と並んで評判の良い『蒼龍(塩)』を食べに再訪しよう」と、決意していた私。遠からぬ将来、間違いなく人気店になるだろう。そんな確信を抱かせてくれた有望な新進気鋭店『麺屋 龍』。2021年の要チェック店舗のひとつであることに、間違いないでしょう。

店主(梨本氏)プロフィール

・長らくイタリアン業界に身を置いた後、一念発起し、都内の実力店の門をたたく。
・その後、3年にわたる同店での修業を経て、2020年12月1日に、『麺屋龍』をオープン。
・以前、『食楽web』でご紹介した『中華そば梟』の永田店主と懇意。
・「1つひとつの食材と向き合い、かつ、仕事にも真摯に向き合う姿勢をリスペクトしている」とのこと。

●SHOP INFO

麺屋 龍外観

店名:麺屋 龍

住:東京都足立区西新井4-27-14 英マンション 1F
TEL:070-2792-9255
営:9:00~16:00、18:00~22:00
休:不定休
https://twitter.com/ryu_menya
※新型コロナの影響で営業時間が不安定になっています。営業日・時間はTwitterを確認

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。