なぜ福井県民は寒くなると「水ようかん」をこぞって食べるのか?

水ようかんのレパートリーの多さは日本一!?

店によって見た目だけでなく味も異なる。寒天とあんを分離せずに作るのがなかなか難しいそうだ
店によって見た目だけでなく味も異なる。寒天とあんを分離せずに作るのがなかなか難しいそうだ

 毎年、福井県では11月になると、水ようかん専門店『えがわ』のCMが流れ始め、地元の新聞に広告が出始めます。これこそが、水ようかんシーズンの始まりの合図。福井のなかでも地域によって味や作り方が異なり、地元で生まれ育った人の多くは、それぞれ馴染みの水ようかんを持っているそうです。

 基本的な製法は一般的な水ようかんと同じく、砂糖とあんを寒天で固めて作るのですが、福井の水ようかんの特徴は、砂糖の量を抑えてあり、甘さ控えめなこと。また、寒天の量も少ないので、のどごしがいいのも特徴です。

 お店ごとに大きな違いが出るのは砂糖。主に上白糖、グラニュー糖、ザラメ糖、黒糖が用いられており、ブレンドして味に特徴を出す店も多く、また店によって厚さにも違いがあります。

 なお、福井県内でも「水ようかん」と名付けられている地域と、「丁稚ようかん」と呼ばれるのが一般的なエリアがあります。

 ちなみに丁稚ようかん発祥の地・滋賀県の近江八幡における丁稚ようかんは“蒸しようかん”のことを指しますが、福井における丁稚ようかんは、多くが水ようかんを意味します。ただし、近江八幡に近い敦賀市では「丁稚ようかん=蒸しようかん」となっているようです。なかなか複雑ですね。