カルボナーラかボンゴレか? 老ける食事、老けない食事の見分け方

食事のAGEを減らすには?

AGEが少ない加熱調理法のコツは水分があること。蒸す、茹でるなどがベター。特に揚げ物のAGEが高くなる理由は食材の水分を抜いてしまうからだそう
AGEが少ない加熱調理法のコツは水分があること。蒸す、茹でるなどがベター。特に揚げ物のAGEが高くなる理由は食材の水分を抜いてしまうからだそう

 山岸先生によれば、1日のAGEの摂取目安は、1万5000exAGEだそうです。カツ丼を食べたら8984exAGE、うな重なら1万4153exAGEと、あっという間に摂取してしまいそう。しかも、そんな数値をいちいち計算するのは無理な気がします。しかし、山岸先生によれば、食事中のAGEを減らすのは、カロリーを減らすより、はるかに簡単だと言います。

「料理のAGEの量というのは高温で調理するほど増えますから、調理法を見ればAGEが多いか少ないかわかります。AGEが少ない調理法を順番に並べると、生⇒蒸す・茹でる⇒煮る⇒炒める⇒焼く⇒揚げるとなります」

 例えば、食パンを生で食べると49exAGE、トーストにすると78exAGE、バターをのせて焼くと2434exAGEといった具合。

 また、現代人がAGEを摂取しやすいのは、食事の簡便性が大きな原因だと山岸先生は言います。
「コンビニなどで加熱調理済みの料理を買ってきて、電子レンジで温めて食べる。2度加熱されているので余計にAGEが増えているんです。手作りの料理が一番ですが、温め直しを控えることを心がけた方が良いでしょう」

 では、揚げ物や炒め物といったAGE値が高い食事をする場合はどう対策すればいいんでしょうか?

料理にレモンをかけるだけで血糖値の上昇を抑え、食材のAGE化も抑えてくれます
料理にレモンをかけるだけで血糖値の上昇を抑え、食材のAGE化も抑えてくれます

「実は、調理や付け合わせを意識するだけで、AGEの吸収を抑えたり、また体内でAGEを作りにくくすることができるんです。例えば、唐揚げを作るとき鶏肉をレモンで下ごしらえしてから調理すると、糖とタンパク質の反応が抑えられて食品中のAGEを半減できますし、まいたけなどのキノコ類と一緒に食べると、食後の血糖値を抑えられたり、AGEの吸収が抑えられるなどの作用があります」

 そのほかAGEを溜めない食材は以下の通り。

●食物繊維が多い食材:ひじき、海藻、オクラ、ブロッコリースプラウト、モロヘイヤ
●キトサンの多い食材:キノコ類、カッテージチーズ、サクラエビ

 ちなみに、食事と楽しむことが多いお酒はAGEが多いのか、気になるところです。

お茶は体内での糖化を抑制してくれます
お茶は体内での糖化を抑制してくれます

「お酒の中のAGEは気にするほどの量ではありません。ただ、飲み過ぎは注意です。二日酔いの原因とされるアセトアルデヒドからAGEが作られるからです。また、お酒以外ではジュースや野菜ジュースは要注意。糖の吸収速度が早く、血糖値を急激に上げるので、AGEが作られやすく蓄積されやすいのです」

 そのほかにコーヒーに含まれるAGEは微量なので気にしなくてよいそう。ちなみに理想の飲み物は「緑茶」。抗糖化、抗酸化の両方に期待できるので、毎日、食後にお茶をゆっくり飲むことがアンチエジングになるんだそうです。

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 何も考えずに手軽に食事を楽しめる現代、こうした新しい食の指標を頭に入れて、自分や家族の口に入れるものに責任を持つことも大切かもしれませんね。

(取材・文◎土原亜子)