終電がない家飲みで押さえておきたい「二日酔い対策」5箇条

鉄則1. つまみは豆腐や枝豆、納豆や豚肉料理

 家飲みで、まず注意したいのが、飲み方。空腹時にいきなりお酒を飲むのは絶対にNG。胃に少しでも食べ物が入っていれば、アルコールの吸収が穏やかになるので、まずは何かつまみを食べてから飲み始めましょう。そして、つまみは、たんぱく質、ビタンB1、食物繊維の3つが重要です。

「タンパク質は体内に入るとアミノ酸に分解・吸収されるので、肝臓の働きの助けになります。ビタミンB1はアルコールが分解されるときに大量に消費されます。ビタミンB1が不足しがちになると疲労感が解消されません。そして食物繊維は、アルコールの吸収を穏やかにするために効果的。植物性のたんぱく質が豊富な枝豆や豆腐、納豆、動物性のたんぱく質でビタミンB1が豊富な豚肉などは積極的に摂取したいですね」(肝臓専門医・浅部伸一さん/以下同)

鉄則2. 油ものの食事は早めに摂っておく

 ダイエットなどの目的で揚げ物を控えている人もいるかもしれませんが、実は揚げ物は二日酔いの防止に効果的。アルコールは胃で5%ほど吸収され、その後の大部分は小腸で吸収されます。

 酔いを抑えるためには、いかに胃でのアルコール滞在時間を長くし、小腸に送られるのを遅くするかがカギ。胃の中での滞在時間は、食べ物によって変わりますが、油分は胃に長くとどまると同時に、胃の中でのアルコールの滞在時間を伸ばすことができるんです。そのため、揚げ物などは食事の早い時間に食べるのが効果的。

「アルコールを分解している間は、脂肪分解の働きは抑えられます。胃でのアルコール滞在時間を長くするためにも、脂肪の過剰摂取を抑えるためにも、揚げ物は早めに食べてくださいね」

鉄則3. 糖質を摂取するなら食事の後半で

 お酒を飲みすぎると、アルコールの分解に肝臓がかかりきりになってしまうため、身体は低血糖になりやすい状態に陥ります。低血糖になると空腹感を感じやすくなり、〆にラーメンやスイーツを食べてしまったり脂質の取りすぎで太ってしまう弊害もあります。それを防ぐには、適度に糖質を補給してあげる必要があります。

「お酒を飲んで低血糖になっても、酔いのせいで症状に気が付きにくいんです。低血糖を防ぐには、糖質の摂取をしたいものです。糖質を摂取するタイミングとして、私がおすすめするのは、食事の後半です。後半に糖質を摂取すれば、翌日まで血糖値を維持できます」

 適度に糖質を摂取するのは、食べすぎを防止するためでもあるんです。ちなみに、食事の最後に飯物が出てくる懐石は、食べ方の理にかなったコースというわけですね。

鉄則4. 水分補給で脱水症状を回避!

 飲酒中に水を飲むことで、胃腸内のアルコール濃度を薄める効果があります。また、アルコールは利尿作用があるため、身体の水分が失われて脱水症状になりやすく、それを防ぐためにも、飲酒中の水分補給は必須。

 寝る前に大量の水を飲んでから寝るだけでも、かなりの二日酔い予防になります。理想は、アルコールと同量の水分を摂取すること。それでも、翌朝二日酔いになってしまったら……。やはり二日酔いの治し方の基本は、水分を補給することに尽きます。

 1Lを目安に最低でも500mlは摂取。飲み物の種類は、特に問わず何でも良し。水を1Lも飲めない……というのであれば、スポーツドリンクなど自分の体調に合わせて飲みやすいものを選びましょう。

5. 二日酔いになった時はみそ汁がGOOD

 二日酔いになってしまったら、回復のために水分を大量に摂取することが基本ですが、みそ汁を飲むのもおすすめの方法。味噌の原料である大豆は、植物性たんぱく質が豊富で肝臓の働きを助けるアミノ酸も摂取できます。みそ汁は、食欲がない時にも胃袋に収まっていきますし、水分とアミノ酸を同時に摂取できるまさに一石二鳥の飲み物なのです。

「水分補給してもまだ頭痛があったり胃のむかつきが残っていたりする場合、対症療法ではありますが、薬の力を借りるのも否定しません。ただし、痛み止めは副作用で胃がさらに荒れてしまう可能性もあるので、胃薬と一緒に飲むのがおすすめです。病院に行っても脱水症状を回復するために点滴をするだけなので、水分が飲めるのであればおすすめしません(笑)」

(文/千葉泰江 撮影/加藤史人 イラスト/須山奈津希)

※当記事は『食楽』2020年春号の記事を再構成したものです