日本酒のプロが推薦! お正月に“熱燗”で飲みたい絶品「日本酒」5選

プロがおすすめする “熱燗”はコレ!

 熱燗にベストな日本酒を選んでくれたのは、東京の浜松町と御茶ノ水に店を構え、全国120種類以上の日本酒が試飲できる日本酒専門店『名酒センター』取締役の今 正光(こん・まさみつ)さん。

「冬酒の飲み方の定番である熱燗の特徴は、温めることで酸味がまろやかになり、香りが際立つこと。最近は家でも簡単にできるので、年末年始に家で飲むには最高だと思います。もちろん、燗付けしなくても、冷や、常温、ぬる燗、熱燗と温度帯によって味わいが変わるのが日本酒のよさでもあるので、温度を変えて飲み比べるのもおすすめですよ」(今さん)

 というわけで、今さんがイチオシする熱燗にオススメな日本酒をご紹介していきましょう。

燗でも冷やでも美味しい!
「龍勢 特別純米酒 和みの辛口」(広島県)

1杯300円、720ml 1250円、1800ml 2500円
1杯300円、720ml 1250円、1800ml 2500円

 まずは広島県で創業150余年の純米蔵『藤井酒造』の「龍勢 特別純米酒 和みの辛口」。広島県の酒造好適米である「八反錦」を原料米としたお酒で、口に含むと広がる芳醇な米の香りと、キレのある酸が特徴です。

 辛口ながらも麹の甘味を感じることのできる濃口の味は、食材の旨みを何倍にも引き立ててくれるので、料理とともに味わいたくなる日本酒です。味がしっかりしたお酒なので、冷酒から燗酒まで幅広い温度帯で楽しめます。

「龍勢は、広島らしい酸味の効いたどっしりとした味が特徴ですが、その中でも“和み”は特にまろやか。熱めに燗付けしても味が損なわれません。お燗にして、濃い味わいの料理と合わせるのがいいですね」(今さん)

端正な味わいの純米大吟醸
「越乃寒梅 純米大吟醸 金無垢」(新潟県)

1杯950円、720ml 5000円、1800ml 1万円
1杯950円、720ml 5000円、1800ml 1万円

 お次は、新潟県のほぼ中央に位置する亀田郷に蔵を構える酒造『石本酒造』の「越乃寒梅 純米大吟醸 金無垢」。精米歩合35%に磨いた山田錦を使った、ほのかな吟醸香と深く繊細な飲み口が特徴の純米大吟醸酒で、熟成が進むほどに味がのる「山田錦らしさ」を最も実感できるお酒です。

 低温で十分に熟成されているので、ぬる燗にして豊かな香りと味の広がりを楽しむのがおすすめ。「端麗な味の中にほのかに麹を感じられます。食中酒として造られているので非常に飲みやすく、ぬる燗にしても味わいを損ねない、しっかりとした日本酒です。どんな料理にもマッチする味わいですよ」(今さん)

辛口濃醇な味が料理の味を引き立てる
「四季桜 とちぎの星 純米酒」(栃木県)

1杯300円、720ml 1250円、1800ml 2300円
1杯300円、720ml 1250円、1800ml 2300円

 明治4年創業の『宇都宮酒造』が造る「四季桜 とちぎの星 純米酒」。やや辛口で濃醇な味の日本酒です。しっかりとした味わいと芳醇な香りは、さまざまな料理とペアリングが楽しめます。酒造りに使われているブランド米「とちぎの星」は、昨年の天皇陛下の即位の際の「大嘗祭(だいじょうさい)」で神々に供えられた米として注目を浴びました。その影響もあり、この「四季桜 とちぎの星 純米酒」に、注文が殺到しているそうです。

「ごはん用のお米は、脂肪分やたんぱく質が多いので、お酒にすると雑味の多いお酒になることが多いのですが、この酒は雑味がなく、酸味がちょうどいい。冷や、常温、ぬる燗、熱燗どの温度でも楽しめますが、お燗にすると味がまろやかになって香りが立つので、誰もがイメージする美味しい熱燗が楽しめますよ」(今さん)

癖のない飲み口にキレのある辛口大吟醸
「純米大吟醸 天鷹心」(栃木県)

1杯350円、1800ml 3400円
1杯350円、1800ml 3400円

「辛口でなければ酒ではない」という創業者の理念の下、栃木県大田原市で百余年の長きに渡り日本酒を造り続けている『天鷹酒造』。その思いを体現した一本がこの「純米大吟醸 天鷹心」、1970年の発売以来、日本酒好きに愛されているロングセラー日本酒です。米の旨みを大切にした、芳醇で穏やかな香りの大吟醸酒で、クセのない飲み口は、どんな好みの人にも受け入れられる味わいです。

「冷やで飲むとキレのあるお酒ですが、ぬる燗にするとまろやかになるので、辛口初心者にもおすすめの一本です。お燗にするなら、ぬる燗がオススメ。純米や大吟醸はお燗に向いていないと言われますが、これに関してはその説はハマりません。40~45度前後ぐらいまで上げるとまろやかな口当たりになりますよ」(今さん)

伝統技術で造られるバランスの良い純米酒
「末廣 伝承山廃純米」(福島県)

1杯250円、1800ml 2100円
1杯250円、1800ml 2100円

 江戸時代後期の嘉永3(1850)年に会津若松で創業した老舗酒蔵『末廣酒造』の「末廣 伝承山廃純米」。今では定番となった“山廃仕込み(※)”を日本で初めて始めた蔵としても知られており、当時から伝承される末廣の嘉儀式山廃造りで造られています。酸味と甘味が入り混じるバランスのよい山廃純米酒です。

「昔から、山廃はお燗に向くと言われています。この酒も、お燗にすることで酸味がまろやかになり、ほかの味が膨らんで、より深い味わいが楽しめます。お燗する温度をあまり気にしなくてOKです。けっこう熱くしても美味しく飲める良酒です」(今さん)

※山廃仕込み……「山卸廃止(やまおろしはいし)」の略語。「山卸し」と呼ばれる「蒸米を半切桶ですり合わせる作業」を廃止し、最初から酒母の桶に仕込むことで自然界から乳酸を呼び込み、自然環境の下で酵母を育成する技術のこと。

 燗をつける際のベストな方法は湯煎ですが、最近は電子レンジにも「熱燗」モードがあって、昔に比べてより手軽に楽しめるようになっています。日本酒を温めると、常温や冷酒の際には感じられなかった細やかな味わい、香りがより一層引き立ち、日本酒本来の旨みやコクを最大限に楽しむことができます。年末年始にぜひ試してみてくださいね。

●SHOP INFO

店名:名酒センター 御茶ノ水店

住:東京都文京区湯島1-2-12 ライオンズプラザお茶の水1F
TEL:03-5207-2420
営:14:00~22:00(フードLO21:00、ドリンクLO21:45)、土曜12:00~22:00(フードLO21:00、ドリンクLO21:45)、日曜、祝日12:00~19:00(フードLO18:00、ドリンクLO18:45)
休:月曜
https://nihonshu.com/