今まで食べた鍋で一番旨い! ニッポン全国鍋グランプリで日本一に輝いた和歌山県日高町の「天然クエ鍋」を食べてみた

初の天然クエ試食体験、しかも大物でテンションMAX!

 試食会場となったのは、東京・麻布十番にある『和処 きてら』。日本料理店にて開催とは、やはり気合の入れようも半端ではありません。こちらも、ちょっと襟を正して、いざ暖簾をくぐると、そこにはめくるめくクエ三昧の宴が待っていたのです!

 実はこの店、和歌山県とゆかりがあるというご主人・佐々木生剛さんが、積極的に地元の食材を扱っている和食店なのです。店名である「きてら」は和歌山県の方言で「来てください」という意味だとか。店内にはすでにクエを堪能しようと多くの客が集まっていました。期待に胸が膨らみます。

天然クエの魅力を熱く語る『和処 きてら』の店主・佐々木さん
天然クエの魅力を熱く語る『和処 きてら』の店主・佐々木さん

 その期待は、次に登場したお店のご主人の話でMAXになりました。開口一番「あなたたちは強運の持ち主です。今回、揚がったクエは28kg級の大物。地元でも滅多に出回ることがありません!」

 なんですって!? 自分の乏しい運をここで使い果たすのはいかがなものか、という些末な問題はさておき、いやー、テンション上がりまくりです。では、いざ天然クエの実力を確かめさせてもらうとしましょうか。

クエの旨さの真髄が楽しめる、まさに「至高の鍋」

 天然クエのお刺身や照焼きなどが供された後、いよいよ真打ち「きてら流天然九絵鍋」が登場しました。本来、地元では鍋にだしは使わず、ポン酢につけて食べるそうですが、店主のこだわりで、ポン酢ではなく、だしのみでいただくことに。だから「きてら流」なんですね。

「こんな分厚い身は地元でも滅多に食べられん」と日高町の人たちも驚いていました
「こんな分厚い身は地元でも滅多に食べられん」と日高町の人たちも驚いていました

 そのうち店内が、食欲をそそられる、だしの香りに包まれてきました。期待しつつ鍋の中を覗くと、なんと、だしの中にはクエしか入ってない! でもその身の分厚いこと! すると店主が「まずはクエだけを食べてみてください。野菜は最後に入れますから。次第にだしの味が変わってくるので、その違いも楽しんで」とのこと。なるほど、そういうことですか!

 待つこと数分。クエの身に火が通ったようです。熱々を頬張ります。上品な白身の味に程よくだしが染み込んで、まさに絶品。これまで食べてきた鍋の最高峰といっても過言ではありません。続いて、皮が付いた部分を試してみました。すると白身のみの部分とは異なり、脂の旨味がグイグイと主張してくる感じです。これもまた美味!

「クエは皮と身の間にあるゼラチン状の脂が旨いんだよ」とご主人。ちなみにコラーゲンもたっぷりだそう
「クエは皮と身の間にあるゼラチン状の脂が旨いんだよ」とご主人。ちなみにコラーゲンもたっぷりだそう

 あっという間に鍋の中がからっぽとなり、すかさず2投目のクエを追加します。先程のアドバイスを思い出し、だしを飲んでみると、クエから出た旨味が加わったのでしょう、確かに深みがグッと増しています。もう相当クエをいただいているはずなのですが、どんどん箸が進んでしまいます。もちろん日本酒も…。

日本一美味しい雑炊かもしれません
日本一美味しい雑炊かもしれません

 もう満腹、食べられないと休憩していると、〆の雑炊が供されました。そりゃ、このだしで雑炊作れば美味しいに決まってます! もはや反則級の旨さに脱帽しつつ、クエ三昧という夢のような試食会が終了しました。

 都内ではなかなかお目にかかれない天然クエ。その実力をまざまざと実感することができた貴重な体験となりました。クエの旬は10月から3月。まさに旬真っただ中! 興味を持った方は、ぜひ、現地・和歌山県日高町に足を運んで、めくるめくクエ三昧の世界を堪能してみてください。

(取材・文◎室井康裕)

●DATA

日高町商工会
TEL:0738-63-3611
http://www.hidaka-kue.jp/

和処 きてら
住:東京都港区麻布十番3-6-9
TEL:03-6809-4867