今さら聞けない定番カクテル「スクリュードライバー」ってどんなお酒?

改めて「スクリュードライバー」ってどんなカクテル?

『LAND BAR artisan』の伊藤 大輔さん。スクリュードライバーは、搾りたて、フレッシュオレンジジュースで淹れている
『LAND BAR artisan』の伊藤 大輔さん。スクリュードライバーは、搾りたて、フレッシュオレンジジュースで淹れている

 一言で言うなら、ウォッカのオレンジジュース割り、おなじみの「スクリュードライバー」。一般的には、とある作業員が、お酒をかき回す時に、たまたま持っていたスクリュードライバー(ねじ回し)を使ったからこの名前がついた、と言われていますが…。

「私はそうは思わないですね(笑)。おそらくですが、禁酒法などお酒に対して厳しかった時代、客が「あれ、飲める?」と店の人に聞きながらジェスチャーで指をくるくる回したとか。何か隠語のような、ジェスチャーのようなものからこの名前がついたのではないでしょうか」。

 そう推測するのは、新橋にある『LAND BAR artisan』の伊藤 大輔さん。銀座1丁目『スタア・バー』、銀座6丁目『LAND BAR』を経て、現在新橋3丁目の、知る人ぞ知る地下空間で、カウンター6席のバーを営んでいます。

シェイカーで合わせたのち、氷入りのグラスへ。鮮やかなオレンジ色が印象的
シェイカーで合わせたのち、氷入りのグラスへ。鮮やかなオレンジ色が印象的

 スクリュードライバーの別名は「レディ・キラー」。無味無臭のウォッカなので、アルコール度数が高くてもスイスイ飲めてしまうため、気付いた時には…。というのがその理由。アルコールが弱い女性でも飲みやすく、酔わせてしまうことからこの別名が付いているとのこと。

 禁酒法の時代のアメリカでは、摘発を避けるため、オレンジジュースに見せて飲んでいた、という話も。確かに見た目からはお酒が入っているとは分からないでしょう。

「ウォッカは無味無臭なので、オレンジ以外の様々な果物のジュースでもスクリュードライバーになります。ザクロのスクリュードライバーや、りんご、桃などもスクリュードライバーにいいですね」と話す伊藤さん。りんごは何となく想像がつくけれど、ザクロのスクリュードライバー。想像がつかない。甘酸っぱいのでしょうか? フレッシュなザクロが手に入るシーズンにはぜひ飲んでみたいスクリュードライバーです。

『LAND BAR artisan』の「スクリュードライバー」1500円。
『LAND BAR artisan』の「スクリュードライバー」1500円。

 同店が使用するウォッカは、ポーランドの「ソビエスキー・ウォッカ」。17世紀後期にポーランドを統治し、国民に愛された「ヤン3世ソビエスキー王」からとってこの名前に。アルコール度数40%。発売からわずか4年で100万ケースを達成し、アメリカのスピリッツ市場で新記録を達成。さらに、アメリカ最大の酒類コンテストのひとつ「ベヴァレッジ・テイスティング・インスティテュート」でNo.1を受賞するなど、評価は非常に高く、元バーテンダーのハリウッド俳優、ブルース・ウィリスもその品質に惚れ込んでしまった、というエピソードも。

 オレンジジュースはもちろんですが、トニックやクランベリー、トマト、パッションフルーツなどのジュースとも相性がよく、ウォッカの他にも、キャラメルフレーバーやストロベリーフレーバーのリキュールもあるソビエスキー。覚えておきたいお酒です。

 ということで、割るオレンジジュースの量は個人の好みで。ゆっくり酔いを楽しむなら程々のバランスにするのが良さそうです。

 スクリュードライバーの他にも、様々なカクテルの由来やエピソードを、独自の考察を交えて解説してくれる、『LAND BAR artisan』。お酒はもちろんですが、伊藤さんの穏やかな佇まいや語り口も心地よい空間です。新橋に来たら、ちょっと地下の隠れ家バーをのぞいてみませんか?

(撮影◎小嶋裕 取材・文◎石澤理香子)

●SHOP INFO

LAND BAR artisan

店名:LAND BAR artisan(ランドバー アルチザン)

住:東京都港区新橋3-15-6 村上ビルB1F
TEL:03-3433-4322
営:14:00~00:00(L.O.)
休:日曜