僅か数日のうちに消えてなくなる、幻の野外レストラン『DINING OUT』を体験!

陸奥湾の花火とともに、料理はクライマックスへ

ラビゴットソースを合わせたいしなぎ。ヒメタケをのせ、地元の山の幸と合わせた
ラビゴットソースを合わせたいしなぎ。ヒメタケをのせ、地元の山の幸と合わせた

 コースはいよいよ後半戦を迎えます。アイスプラントや枝豆、多肉植物で食感を重ねた、この時期しか取れない木もずくのひと皿に続き、スルメイカの塩辛とジャガイモのニョッキを合わせた一品へ。そうして期待を高め、供されたのはいしなぎという魚。ゼラチン質の多い身質ながら、皮目を焼き切ってジューシーに。ヒメタケとともにラビコットソースを合わせました。

大間のマグロ。黒ニンニクと玉ねぎをキャラメリゼしたペーストがまぐろとがっぷり四つ
大間のマグロ。黒ニンニクと玉ねぎをキャラメリゼしたペーストがまぐろとがっぷり四つ

 そして、大間のマグロ、真打ち登場です。表面を焼くことでハリが出た身に歯を立てると、身がはじけ、やがて脂が溶け出していきます。ポルチーニ茸の戻し汁のソースが濃厚なマグロの旨みに寄り添い、黒ニンニクと玉ねぎをキャラメリゼしたペーストを合わせれば、旨みと風味が相乗されていくようです。

柔らかくも、みっちりとした旨みが広がるアワビで、料理はクライマックスを迎えた
柔らかくも、みっちりとした旨みが広がるアワビで、料理はクライマックスを迎えた

 そして、クライマックスはアワビ。肝と焦がしバターの濃厚なソースに、下はシッタカという貝の出汁で仕立てたリゾットに。得も言われぬ旨みが重なり合い、口中に押し寄せてきます。

8種のアミューズが小気味良いテンポで供されたスタッフの連携も見事のひとことだった
8種のアミューズが小気味良いテンポで供されたスタッフの連携も見事のひとことだった

 陸奥湾の恵みをこれでもかと味わい尽くすコース料理。それでいて不思議と“肉がない”という物足りなさはゼロ。むしろ、満足感とともに残るのは、心地よい食後感と多幸感でした。

陸奥湾に打ち上げられたサプライズの花火が、湯の島の美しいシルエットを浮かび上がらせた
陸奥湾に打ち上げられたサプライズの花火が、湯の島の美しいシルエットを浮かび上がらせた

 途中、闇に包まれた陸奥湾に花火が打ち上げられるというサプライズに、ゲストから感嘆の声が上がりました。

 スペシャルなシェフと食材、ロケーション、文化があり、はじめて結実する『DINING OUT』。日本を旅する野外レストラン、次回は日本のどこに現れ、数日限りの儚くも美しい夢を見せてくれるのでしょうか。