旨い店はタクシー運転手に訊け! 『あぺたいと』の両面焼きそばの美味しさの謎に迫る!

謎多き美味しさの理由

スタミナ丼セット1,080円(スープ付)
スタミナ丼セット1,080円(スープ付)

 さて、なぜ、『あぺたいと』の焼きそばが“両面焼き”なのかというと、創業者の飯野雅司さんが、大分県日田市のご当地グルメ「日田焼きそば」発祥の『想夫恋』の焼きそばに惹かれ、東京に広めようと修業したからなんだそうです。そして、1988年に、東京の板橋区高島平(現在の本店)に「両面焼きそば」と銘打って開業したのです。

 最初はなかなか浸透しなかったそうですが、オープンして12年後くらいから口コミで人気が出てきて、さらにテレビで取り上げられてブレイク、行列店になったというわけ。

 私は、本店の高島平店や板橋店によく伺います。本店の店長・前田淳一さんとお話しする機会があり、美味しさの秘密について聞くと、実に“謎”が多いことがわかりました。前田さんは「ちょっとオカルトっぽいんですよね」と表現していましたが、まとめると主に3つ。

両面焼きそば

◆謎1:秘伝すぎるレシピ
「自家製の生麺と特製ソースは、本店の近くにある社長宅の1階に専用の場所があり、そこで作っているんですが、その作り方は門外不出のレシピ。僕ら従業員も絶対に教えてもらえません。隠すように作っているんです(笑)」(前田店長、以下同)

◆謎2:“麺茹で”が大事
「両面焼きで有名ですが、実は作り方で大事なのは麺を茹でること。これで味が決まると言っていいくらい。だから不思議な動きで麺を茹でるんです。これも社長が試行錯誤して開発したオリジナルの茹で方なんです」

◆謎3:なるべく触らない
「また、混ぜる時も、社長は触るな、触るなと言います。つまり、ヘラでなるべく触らないようにして混ぜるんです。これも、謎のテクニックですが、そうすることで、絶妙な食感と味が生まれるんです」

 といった具合。決して真似ができない職人芸ですね。『あぺたいと』だけの至極の美味しい両面焼きそばを、ぜひ、食べに行ってみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

両面焼きそば あぺたいと 本店高島平店 外観

店名:両面焼きそば あぺたいと 本店高島平店

住:東京都板橋区高島平7-12-8
TEL:03-3938-6302
営:11:00~15:00、17:00~23:00
土11:00~23:00
日祝11:00~22:00
休:月(祝の場合は翌日)

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。