【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン

広い「九州・沖縄エリア」は目的を絞って食べ歩きを!

『いちげん。』(佐賀市)の「生卵入りラーメン」
『いちげん。』(佐賀市)の「生卵入りラーメン」

 九州は、主に豚骨等を強火で炊き上げた白湯スープにストレート麺を合わせた「豚骨ラーメン」の印象が根強いエリア。そして実際に、豚骨ラーメンを提供する店の数はきわめて多いのだが、一括りに「豚骨」と言っても、食べ比べが楽しめるほどには、各県で提供されるラーメンの味には差異があり、それが九州ラーメンシーンの魅力へと直結している。

「豚骨ラーメン」の「豚骨」とは「豚の骨(ゲンコツ・アタマ・背ガラ等)から採った出汁を用いたスープ」という意味以上の何物でもなく、用いるタレ・油・麺によって、味が変わるのは、むしろ当然のことなのだ。

 強火で豚骨を炊き上げた濃厚スープに、博多よりやや太いストレート麺を合わせた〈久留米ラーメン〉が、九州豚骨ラーメンの源流だ。オススメ店は福岡県の『大砲ラーメン本店』(久留米市)、『沖食堂』(久留米市)など。

 豚骨にさらに「鶏」を加えて出汁を採ったスープに、マー油(焦がしニンニク油)をトロリと垂らした〈熊本ラーメン〉も、独創性に優れたラーメンだ。オススメ店は『こむらさき』(熊本市)、『黒亭』(熊本市)など。

 また、甘み豊かなカエシが鮮烈な印象を刻む豚骨スープに、柔らかなストレート麺を合わせた〈佐賀ラーメン〉も、九州ラーメンを語るに当たって欠かすことができないご当地麺だ。オススメ店は『いちげん。』(佐賀市)、『もとむら』(佐賀市)など。

玉名ラーメンの名店『桃苑』(熊本県玉名市)の「ラーメン」
玉名ラーメンの名店『桃苑』(熊本県玉名市)の「ラーメン」

 その他、〈熊本ラーメン〉の源流である熊本県玉名市の〈玉名ラーメン〉(オススメ店:『天琴』『桃苑』)や、ニンニク&胡椒をデフォルトで強烈に利かせた大分県佐伯市の〈佐伯ラーメン〉(オススメ店:『遊楽』『藤原来々軒』)といった、地域性が強いご当地麺にも喩えようのない妙味がある。

 九州は「福岡県」「佐賀県」「熊本県」「大分県」「長崎県」「宮崎県」「鹿児島県」の七県の集合体。したがって、その総面積は相当広大であり、対象を特定の1、2県へと絞り込み、その県内の実力店をじっくりと巡り歩くのがオススメの行程ということになる。

 個人的には、九州ラーメンが初体験であれば、ぜひ久留米へと足を運んでもらいたい。上述したとおり、久留米市は九州豚骨ラーメン発祥の地。大型休暇の機会を捉え、九州豚骨のルーツに思いを馳せてみるのも悪くない選択だ。

『山原そば』(沖縄県本部町)の「ソーキそば」
『山原そば』(沖縄県本部町)の「ソーキそば」

 また、沖縄県は、九州から地理的に隔絶され、九州とは全く異なる麺文化を有する。同県が誇る麺料理と言えば、何と言っても〈沖縄そば〉。沖縄そばは、県内の数多くの店舗で提供されているが、初訪問であれば、手堅く『山原そば』(本部町)、『首里そば』(那覇市)、『元祖大東ソバ』(那覇市)などの定番店を押さえておきたい。特に『首里そば』は、首里城観光の際に容易に立ち寄れる優良店。ぜひ足を運び、絶品の沖縄そばをご堪能いただきたい。

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。