餃子×シャンパンに続くトレンド? “ワイン×シュウマイ”を提案する渋谷『焼売酒場 小川』が旨い!

新たな挑戦と二つの看板メニューとは?

『焼売酒場 小川』は、運営会社が同じ『ミニヨン坂ノ上』という渋谷の隠れ家和ビストロと、入れ替わる形で新規オープンしました。そして『ミニヨン坂ノ上』は、シュウマイ×ワインを提唱し始めたお店で、同店はその流れをくむ新業態店舗です。

 ご存知の方もいるかもしれませんが、私が昨年5月に『マツコの知らない世界』にて、ワインに合うシュウマイとしてこの『ミニヨン坂ノ上』を紹介しました。マツコさんもこの組み合わせに納得し、白ワインをジュースのようにがぶ飲みしていました。

『ミニヨン坂ノ上』が開店したのは、今から10年前の2009年。実はその同じ年の少し前に、グループの一号店である、東京食材を用いたビストロ『ミニヨンTOKYO』がオープン。コンセプトは食材のこだわりと、新潟県燕市で製造されたダッチオーブンを用いたグリル料理。そしてワインや日本酒など自然派のお酒。今では同じようなコンセプトを掲げた飲食店も見られますが、ミニヨングループはその先駆けとも言える存在です。

「玉子焼」小780円、大1,280円
「玉子焼」小780円、大1,280円

 その後、さらなる付加価値を求め、ビストロに和食の要素を加えることを模索。そのシンボルともなるメニューがシュウマイであり、『焼売酒場 小川』のもうひとつの看板料理である、「玉子焼」でした。そしてこの卵焼きもまた、シュウマイに並ぶ絶品料理なのです。

 卵焼きは、ミニヨングループの象徴とも言えるダッチオーブンで焼き上げます。近年、卵焼きは半熟とろとろでふんわりなものが良しとされがちですが、ダッチオープンで焼かれたものは、中まで火がしっかり通っていながら、ふんわり柔らかな食感。こんがりと焼けた表面の香ばしさと食感とのコントラストが心地よく、こちらもまたワインをはじめとするお酒とよく合います。

「焼売」と「玉子焼」。この二つの料理には、ミニヨングループの代表取締役である四ツ橋壮大(よつはし そうた)さんの「食歴」が大きく影響しています。

入り口に置かれているメニュー表の中でも「焼売」と「玉子焼」の文字が大きく掲げられている
入り口に置かれているメニュー表の中でも「焼売」と「玉子焼」の文字が大きく掲げられている

 ひとつは、卵焼きとシュウマイを名物とする、早稲田では知る人ぞ知る居酒屋『源兵衛』。幼少時代、家庭教師だった大学生の先生が連れて行ってくれたお店で、この二つの名物料理を食べた記憶が残っているといいます。「味の記憶よりも、大人の雰囲気の食空間という印象が強く、ミニヨングループの店舗やメニューづくりに大きく影響しています」(四ツ橋さん)。ただ、料理そのものには「源兵衛」の典型的な和食的なスタイルは採用せず、それまで作り上げてきたミニヨンスタイルを融合させた、独自のシュウマイと卵焼きを完成させました。

 卵焼きは前出のとおり、ダッチオーブンというミニヨンらしい調理が特徴ですが、シュウマイは、四ツ橋さんが今も愛する、横浜中華街の知る人ぞ知る名店「海員閣」の看板料理であるシュウマイの方向性を土台に、和ビストロの要素を盛り込み、現在の形になったと言います。

 日本初の「シュウマイ×ワイン」のマリアージュを提案する酒場としてスタートした『焼売酒場 小川』ですが、シュウマイをさらに進化させようと模索しているようです。

「前身の店の雰囲気の印象がまだ強いようで、カジュアルにシュウマイとワインを楽しむ、というコンセプトが伝えきれていないように思います。そのためにも、揚げシュウマイやジビエシュウマイなど、シュウマイのラインナップを広げようと試行錯誤を繰り返しています」(四ツ橋さん)

 揚げシュウマイはビール、ジビエなら赤ワイン……と、勝手に妄想を膨らませている私ですが、いずれにしても、この店の挑戦により、日本のシュウマイの味わい方の可能性が広がることは間違いないでしょう。今後のシュウマイ界の活性化のためにも、ぜひ貪欲にチャレンジし続けて欲しいです。試食なら、何個でも何種類でもお付き合いしますよ。

●SHOP INFO

焼売酒場 小川 外観

店名:焼売酒場 小川

住:東京都渋谷区渋谷3-1-10
TEL:03-6427-3560
営:12:00~14:00、18:00~23:30
休:日曜、祝日
http://www.miniyon.com/ogawa/

●著者プロフィール

シュウマイ潤

本名種藤潤。教育大学卒業後、フリーランスのライター、エディター、ウェブプランナーとして活動を開始し、現在はオーガニックと食を中心とした幅広いジャンルで取材執筆を行う。焼売に関しては2015年頃から着目し、インスタグラム「焼売生活」で全国各地の焼売を実食し発信。2019年2月現在で350種類を制覇した。2018年5月にTBS「マツコの知らない世界」でシュウマイの知らない世界を紹介。2019年1月からは「東京シュウマイ弁当」(製造:オーガニックキッチン)を監修している。