旨い店はタクシー運転手に訊け! 究極にしっとり旨い『丸鶴』の「チャーシューチャーハン」

しっとりチャーハンと柔らかチャーシュー

「チャーシューチャーハン」(850円)と「ラーメン」(500円)
「チャーシューチャーハン」(850円)と「ラーメン」(500円)

『中華料理 丸鶴』さんは、創業52年。この店に通う人たちは、子どもの頃からの常連という人も多く、成人して結婚して子どもを産んで、その子どもがまた通う、という具合に“丸鶴ファン”は世代を越えて増殖するんです。私もその一人。

 そして、皆が愛してやまないのが絶品のチャーハンです。

 チャーハンといえば、いかに米粒をパラパラに仕上げるか、というのがよく話題になりますが、『丸鶴』さんのチャーハンは、パラパラとは一線を画した超絶に“しっとり”を極めたチャーハンです。

 ご主人の岡山実さんは、しっとりの理由を、「炊きたてのご飯を使ってるからね。やっぱりコメは、炊きたてが一番旨いでしょ」と言っていました。

 私はとくに米好きなので、このしっとり感が大好きです。しかもレンゲで持ち上げるとふんわり。

お米1粒1粒がつやつやと、そしてふっくらと仕上がっているんです
お米1粒1粒がつやつやと、そしてふっくらと仕上がっているんです

 もう1つの『丸鶴』のチャーハンで特筆すべきはチャーシューです。

 私はいつも「チャーシューチャーハン」(850円)をオーダーします。これは普通の「チャーハン」(600円)の倍の量のチャーシューが入っています。柔らかくてふわふわのチャーシューがごろごろ。しっとりチャーハンにぴったりなんです。

 多くの常連さんが、これをオーダーするので、ご主人は、毎朝3時に起きて、その日の分の大量のチャーシューを仕込みます。

「使うのは豚肩ロース。パサパサしたチャーシューは嫌なので、長時間、煮込むのではなく、つけダレに3時間漬け込むんだ。あと、豚肉は紐でけっして縛らないね」と柔らかに仕上げるコツを教えてくれました。

絶品のチャーシュー。ちなみにお土産(1,000円)というのもあります
絶品のチャーシュー。ちなみにお土産(1,000円)というのもあります

 また、チャーハンに使用するラードやオイスターソース、さらにオリジナルレシピの醤油(ジャンユー)など材料全てに一切妥協をせず、至高のチャーハンを作り出しているんです。

チャーハンに使用するオイスターソースも、選び抜いたもの
チャーハンに使用するオイスターソースも、選び抜いたもの

 そして、『丸鶴』のチャーハンの美味しさの最大の理由は、ご主人の技術にあります。それは、前述したように、素早い鍋振り。まるで、米と米の間に空気を入れるようにふんわり仕上げていきます。

あまりスピーディーな鍋振りに写真がブレブレで、すいません
あまりスピーディーな鍋振りに写真がブレブレで、すいません

「ゆっくり炒めると、べちゃっとなるからね。スピードは大事。よく取材なんかで撮影するからゆっくり炒めて、なんて言われるけど、できやしない。1日150皿から多い時で200皿のチャーハン作るからね。でも、手にマメができたことないよ。鍋振りが下手だとマメができるんだよ(笑)」と言って、手を見せてくれました。

たくさんの人を魅了するチャーハンを炒め続けてきたご主人の手
たくさんの人を魅了するチャーハンを炒め続けてきたご主人の手

 いやはや、ご主人のこだわりと努力には頭が下がります。

 ちなみに、チャーハンは、シャキシャキのレタスが入った「レタスチャーハン」(700円)や「とびこチャーハン」(850円)などもあり、こちらも大人気。

 緻密に計算されたふんわり&しっとりの大山自慢のチャーハン。食べると、きっとなごみます。ぜひ大山に遊びに行ってみてください。

「レタスチャーハン」(850円)
「レタスチャーハン」(850円)

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

丸鶴 外観

店名:丸鶴

住:東京都板橋区西町2-2
TEL:03-3955-2209
営:月火木:11:00~14:50、水金土11:00~14:50 17:00~21:20、祝は営業
休:日

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。