肉好きの聖地・銀座『マルディグラ』が大切にする、ゲストをもてなす極意とは

美味しいだけではない、細部へのこだわりが食を楽しむ時間を演出

「プラハのハム」2,400円
「プラハのハム」2,400円

 フランス料理を軸に、各国のエッセンスをちりばめた『マルディ グラ』の料理ですが、前菜なら、一例としてスペインのバルで伝統的に食べられてきた「ピンチョス」があります。そのときにある食材でいろいろとアレンジするのが和知流で、この日は、「サフランリゾットのアランチーニ(イタリアのライスコロッケ)」や「プチトマトのコンポート(フランスのシロップ煮)」などが登場。盛り付けの華やかさはもちろん、国境を越えて多様な料理がズラリと並ぶスタイルは愉快です。
「プラハのハム」は名の通り、和知さんがチェコで出合い、感激したハムから着想した自家製。ボリュームも満点で、旺盛なサービス精神もうかがえます。

「ピンチョス」1,500円
「ピンチョス」1,500円

 メインなら、ビーフの「イパネマステーキ」がいい例。イパネマとは、ブラジルのイパネマ海岸のことで、現地でよく食べられる「ご飯と豆の組み合わせ」を付け合わせで再現。ジャスミンライスと丹波の黒豆で作ったフェジョアーダ(ブラジルの豆と肉の煮込み)を添えています。黄色いパウダーはブラジルで一般的なマンジョーカという芋のパウダー。肝心の牛肉にはアメリカ産アンガス牛のサガリを使い、「中心温度が55℃から60℃までをキープしながら」塊のまま、炭火で丁寧に焼き上げています。

 牛はほかに、「ビステッカ」に仕立てる岩手・岩泉産短角牛のランプなども使用。料理によって銘柄だけでなく、部位も変えるこだわりはさすが。「旅をすればするほど、メニューが増えていく(笑)」とは和知さん。世界各地を巡ることで、美味しい肉を見極める、優れた選択眼も鍛え抜かれているのです。

 ワインも「開店当初から一貫して世界中のワイン」をコレクション。カジュアルに楽しむことが一般的になった昨今のニーズに応えて、「高級然としたワインでなく、みんなでワイワイ、楽しく飲める銘柄」を多く用意しています。

 空間は品があって落ち着いていますが、漂う空気感はいたってカジュアル。「ウチに来て頂いた皆さんに、最初から最後まで楽しい時間を過ごして欲しいから」と語る和知さん。表層ではなく、実質的な部分を重視する姿勢を、すべてにおいて貫いているのです。