旨い店はタクシー運転手に訊け! “神の味”といっても過言ではない『丸長』のつけそばの魅力とは?

旨い店はタクシー運転手に訊け! “神の味”といっても過言ではない『丸長』のつけそばの魅力とは?
食楽web

「旅先で旨いものを食いたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店に案内してもらいます。今回は、年始スペシャルと題して、荒川さんが20年以上通い続ける名店、目白の『丸長』です。

 つけ麺の元祖と言えば、言わずと知れた東京・東池袋にあった『大勝軒』です。創業者・山岸一雄さんといえば、「つけ麺の生みの親」、「ラーメンの神様」と言われるほどの日本のラーメン文化の貢献者。

 その山岸さんの修業先と言えば、荻窪『丸長 中華そば店』です。これは、ラーメン好きの間では有名な話です。しかし、私がつけ麺の美味しさに目覚め、なおかつ今のようなラーメン好きになるきっかけとなった店は、目白にある『つけそば丸長 目白店』さんです。こちらは昭和29年に創業し、今年で丸64年になります。

 友人に連れられ、初めて行ったのは20年以上前のことです。当時から超有名店で、当然ながら長蛇の行列でした。注文したのは「チャーシューやさいつけそば」。普通、つけダレといえば、小さな丼のことが多いのですが、こちらは普通のラーメン丼にたっぷり入ってきます。刻みチャーシューがてんこ盛りになっていて、そのビジュアルだけで一目ぼれ。食べれば、つけダレの奥深い味、麺の食感ともに非の打ちどころがないパーフェクトさ、“神の味”としか言いようがありませんでした。

 あまりの美味しさに、その後、1ヶ月間ほぼ毎日通ったほどです。食べても食べても飽きるどころか、深い味わいに魅せられました。

 そんな目白の『丸長』さんが、8年前に店舗の建て替えで1年間休業したことがありました。そのとき、突然の “丸長ロス”で、私は数ヶ月間途方にくれました。翌年にリニューアルオープンした初日に行き、生き返った気持ちになったことをよく覚えています。

 さて、今回は、初訪店の人におススメしたいメニューをご紹介しましょう。

 それは「チャーシューやさいつけそば」です。建て替え前は12時までに行かないと売り切れてしまっていたのですが、厨房のシステムのおかげか建て替え後はチャーシューを増産できるようになり、13時過ぎに行っても売り切れるようなことはなくなりました。

 濃い目に味付けされた刻みチャーシューとともに、クタクタに茹でられた野菜もたくさん入っており、全体的にほどよいバランスになります。また、酸味と甘みと辛味の効いたカエシに鶏ガラ魚介系のシンプルな醤油スープは、具材のチャーシュー・野菜とベストマッチ。なお、私は、よりマイルドにするために生卵を別にオーダーして割り入れます。これ旨いですよ。ぜひやってみてください。

 ちなみに一見さんは店員さんから「しっかりスープを混ぜて食べて下さいねー」と必ず言われます。これが言われなくなったらもう常連さんの仲間入りです。

 オープンキッチンから見える“麺茹で”は、驚くことにロットで茹で置きしています。にも関わらず、不思議なことにプリプリ&ツルツルで麺の香りや旨みもあり、あっという間になくなる美味しさ。

 なお、「チャーシューやさい」のつけスープは量がたっぷりあるので、まずはこのチャーシューと野菜を適度に食べ、スープをのぞかせてから、麺をつけて食べるのがオススメです。

 また、つけ麺やつけそばといえば、麺を食べ終わった後のスープ割りですよね。私は、チャーシューをちょっと残してスープで割るのが好きで、その辺のバランスを考えながら麺をすするのも楽しいです。

 ぜひ、老舗のつけそば、“神の味”を堪能してみて下さい。

(撮影・文◎荒川治 監修◎土原亜子)

●SHOP INFO

つけそば丸長 目白店 外観

店名:つけそば丸長 目白店

住:東京都新宿区下落合3-19-4
TEL:03-3951-4378
営:11:00~15:00
休:日祝

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。