旨い店はタクシー運転手に訊け! 『寿製麺よしかわ』の「いわしそば」に行列ができる理由

港の市場で食べるようなラーメン

『寿製麺よしかわ』の看板商品は実は「いわしそば」ではなく、「煮干しそば」。これには白醤油と黒醤油の2種類があって、お店の方にお勧めを聞くと、「最初は白醤油から食べると、うちのベースのスープの味がクリアにわかると思います」とのこと。

 そこで初日は「特製煮干しそば白醤油」をいただくことにしたんです。ただ、ものすごく気になったのは、入店前に並んでいた時に見た外壁に貼ってあったメニューです。それが下の写真。

 これは「いわしそば・丼」とかかれたサイドメニューです。ここにあった「いわしそば」は、おそらく一般的なラーメン屋さんの「和え玉」的な存在だと予想し、こちらも注文をすることにしました。

「特製煮干しそば白醤油」1,000円(並)。大盛りは1,100円
「特製煮干しそば白醤油」1,000円(並)。大盛りは1,100円

 最初に登場した「特製煮干しそば白醤油」は、美しく澄んだ黄金色のスープ。数種類の煮干しと、羅臼・利尻・日高などの昆布でとったスープに、白醤油をベースにしたカエシを加えているので、淡くさっぱりしています。

 ですが、口のなかで広がる煮干しの香り、旨みがじつに濃くて奥深い。食べているうちに、まるで港の市場で食べているかのような“魚々しさ”を感じるんです。

 特製のトッピングは、低温調理の柔らかな豚と鶏のチャーシュー、メンマ、ネギ、三つ葉、煮卵。その一つひとつに丁寧な仕事が施されているのがわかります。たとえばメンマ。よく見ると、筋切りされていて食べやすく、また煮卵の黄身にも出汁の味が染みていて、絶妙な加減で茹でてあります。

「いわしそば」430円。『よしかわ』さんは元は鮮魚が売りの和食居酒屋だったこともあり、新鮮な魚を仕入れることができるそう
「いわしそば」430円。『よしかわ』さんは元は鮮魚が売りの和食居酒屋だったこともあり、新鮮な魚を仕入れることができるそう

 そして、期待の「いわしそば」。香ばしい醤油とスープで作ったタレ。にんにくとスライス玉ねぎ、そして鮮度抜群のイワシ。テーブルの白コショウを軽く振って混ぜて食べたら、これが腕のいい和食職人が作ったのかと思うような逸品なんです。自家製麺のパツパツな麺の食感も心地よくて、麺の旨味にもやられます。

 というわけで、初日に魚々しさにノックアウトされて帰宅。もうじっとしていられず、一週間もしないうちに再訪を決めたのです。