名店と呼ばれる所以は細部にこそ宿る! 神楽坂『ENGINE』の料理、空間、器、おもてなしの極意とは?

料理、空間、器、おもてなし……。『ENGINE』はココにこだわる!

「前菜三種」1,200円
「前菜三種」1,200円

 この日供された3品の料理は、『ENGINE』らしさ溢れる料理ばかりでした。

「前菜三種」には、ピータンの旨みが湯葉の風味を引き立てる定番「ピータン豆腐」、食感のコントラストがクセになる「柿と赤くらげ胡麻和え」、一体感が素晴らしい「アオリイカとアボカド和え物」。ジャンルという概念を飛び越え、和の食材と中華の技法が見事に融合しているのが分かります。

「あん肝の干し貝柱大根あん」は、紅芯大根の色を見事に活かした美しいピンク色の餡が目を引く一品。餡は大根のシャキッとした食感も残る優しい味わいで、濃厚なあん肝のコク、ネットリ感にもよく合います。この味わいの上品さや、中華にありがちな食後感の重さがないのも、『ENGINE』が女性に高い支持を得る理由のひとつでしょう。
 また、「サケとイクラの親子炒飯」は、パラパラの仕上がりに、さすがのテクニックを実感。イクラのプチプチとした食感も楽しく、〆で頼んでも、スルスルと胃に収まる優しさがあります。

「あん肝の干し貝柱大根あん」1,900円
「あん肝の干し貝柱大根あん」1,900円
「サケとイクラの親子炒飯」1,500円
「サケとイクラの親子炒飯」1,500円

 蕪やスティックセニョールなどは広島から取り寄せる無農薬野菜。季節によって替わりますが、年間を通して週に一度、まとめて届きます。紅芯大根など、一部の野菜は東京の市場でシェフが自ら見定めて仕入れたもの。繊細な『ENGINE』の中国料理に欠かせない存在です。

 料理に合わせ、酒は厳選。紹興酒なら20年物などを用意し、ワインはフランス産の赤6種、白6種をリストアップ。グラスでも提供しており、白、赤ともに1,000円~で提供。日本酒も通好みの銘柄をスポットで入荷。埼玉『花陽浴 純米吟醸 八反錦 瓶囲無濾過原酒』など、ほかではなかなかお目にかかれない銘柄が登場することも。

「和の食材を中国料理に」をコンセプトとしているため、開店当初から「食器も和物が使いたかった」とシェフ。出身が大分県ということもあり、福岡・小石原焼など、九州の陶器を多用。特に、佐賀・古唐津焼は思い入れがあり、丼型の古唐津焼は「『こういう形で作って下さい』とお願いした特注品で、使う頻度が最も高い」というお気に入りなのだとか。