旨い店はタクシー運転手に訊け! 辛シビの中に旨みの嵐が吹き荒れる『キング軒』の広島式汁なし担々麺

『キング軒』がクセになる理由

 この「広島式汁なし担担麺」がクセになる理由は、お店のこだわりを聞くと納得します。まず、辛さの元である辣油。自家製五香辣油で、最低1か月半寝かせて熟成させるんです。また香りと痺れの元、花椒は四川から数種類を取り寄せて独自にブレンド。それを毎日使う分だけを挽いているそうです。

自家製五香辣油
自家製五香辣油
「キング軒オリジナルブレンド山椒」は200円で販売されています
「キング軒オリジナルブレンド山椒」は200円で販売されています

 醤油ダレや芝麻醤もすべて自家製。また、中細麺は数種類の性質の違う小麦粉を合わせた特注麺。食感や風味はもちろん、伸びにくさにもこだわって開発されたそうです。

自家製の芝麻醤
自家製の芝麻醤

 ところで、なぜ「広島式」なのか、気になりますよね。お店の方に聞いたら、なんでも2001年に広島の『きさく』というお店が、本場・四川の汁なし担担麺を真似して出したところ、それが人気となり、専門店がどんどん増えていったのだとか。今では広島では、200軒以上が独自の「汁なし担担麺」を出しているんですって。

 でも広島式と名付けたのは『キング軒』。明確な定義があるわけではないそうで、広島で流行っている汁なし担担麺を広めようと付けたのだとか。

 さて『キング軒』には、美味しい食べ方のルールがあります。下の画像をご覧ください。

 とくに、30回以上混ぜるというのは絶対やった方イイです。多少、手が疲れても、タレが完全に麺に絡むまで食べてはいけません。そして、私のイチオシは、途中で卓上の山椒を振りかけて混ぜずに食べることです。こうすることで2度、挽き立ての山椒の香りを味わえますよ。

 最後に、もう1つ。こちらの店は麺をピッタリ55秒間茹でます。これは、かなり短いと思われるかもしれませんが、麺とタレの絡みが最高に良いと計算された茹で時間です。着丼したらすぐさま、かき混ぜるようにしてくださいね。このかき混ぜているときの香りも、楽しみの1つです。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

キング軒東京店 看板

店名:キング軒 東京店

住:東京都港区芝公園2-10-5
TEL:03-6452-9330
営:11:00~15:00
  17:00~20:00
休:土
https://www.kingken.jp/

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。