おいしくコーヒーを飲むための、豆の保管方法・基礎の基礎|コーヒープレス古今東西

挽いた豆にお湯を注ぎ、時間が来たらレバーを押し下げる。そんな簡単ステップで珈琲豆の味わいが堪能できるコーヒープレス。家事の合間に、仕事の休憩に。初心者からプロまで使えるうえに、手間いらずで実用的。なのになぜか、知名度は今ひとつ。使えばきっと好きになる、愛すべきコーヒープレスの魅力をご紹介します。

おいしくコーヒーを飲むための、豆の保管方法・基礎の基礎|コーヒープレス古今東西
食楽web

 どんなにいい豆を選んでも、保管方法が悪ければあっという間に風味が落ちてしまうのがコーヒーの特徴だ。まずはおいしく飲むために必ず守るべきルールを頭に入れておこう。

◆おいしい状態は、豆なら1週間、粉なら3日間

 空気に触れることで酸化が始まり、香りも飛んでしまうので、だいたい上記の期間を目安に飲みきれる量を買うのがベター。特に挽いて粉にしたコーヒーは豆よりも酸化の速度が早いので、おいしく飲める期間のなかで確実に飲みきれる量を挽く、というのも大切。

◆保存場所は「風通しのよい冷暗所」が基本

 酸化を防ぐには、空気、太陽光、湿気を避けること。室温でもよいが、低温保存できる冷蔵庫が品質維持の面ではおすすめ。

◆保存容器は「密閉性」を重視して選ぼう

 瓶や缶なら、蓋の内側にパッキンがついているタイプなど、しっかりと蓋が閉まって空気を通さないタイプのデザインを。意外に優秀なのが、ジップロックのようなチャック付密閉ビニール袋。豆や粉を入れたあとに、しっかりと中の空気を抜くひと手間を忘れずに。

◆飲みきれない豆や粉は冷凍庫で保存を

 すぐに飲めない分は、保存容器(袋)に入れて冷凍すると、粉なら約1週間、豆のままなら約1ヶ月の保存が可能に。それ以上入れっぱなしにすると、香りや風味が飛んだり、冷凍庫の臭気が豆に移る原因に。

◆冷蔵・冷凍した豆や粉は、抽出前に室温に戻すこと

 豆や粉が冷えたままお湯を注ぐと、コーヒーが抽出される温度も下がってしまうため、せっかくのおいしい豆のポテンシャルを引き出しにくくなる。飲む少し前に庫内から出し、必ず室温に戻してから抽出を始めよう。

 これらの点を加味すると、おいしく飲むためにはこんな流れになる。

【1】1週間で消費するコーヒーの量を計算してみる。
【2】豆を買うサイクル×1週間のコーヒー消費量から購入量を決める。

例)フレンチプレスで淹れたコーヒーを、大きめのマグカップで毎朝1杯飲むのが習慣。
休日はさらに1~2杯。月に1回、行きつけのコーヒーショップで豆を買う。

<1週間で消費する豆の量>
16g(350ml)×9(週7回+休日2回)=144g

<コーヒーショップで買うべき豆の量>
1週間144g×4週間分=576g=(端数を切り上げて)600g

【3】豆を購入したら、150g×4つに分けて保存容器に入れる。3週間分は冷凍庫に、1週間分は冷蔵庫に保管。飲む直前に一杯分をミルで挽く。一週間分をまとめて挽いて粉にする場合は、すべて冷凍庫保存に。

 自宅にミルがなく、店頭で挽いてもらって購入する場合は、月イチではなく毎週150g購入したほうがやはりおいしく飲める。

 酸化は自然の摂理。避けられないにせよ、せっかく買ったいい豆はできるだけおいしいまま飲みたいもの。保存方法を見直して、コーヒーのポテンシャルを可能なかぎり感じてみよう。

●著者プロフィール

文/木内アキ

北海道出身、東京在住。“オンナが楽しく暮らすこと”をテーマに、雑紙や書籍、ウェブなどで人・旅・暮らしにフォーカスした文章を執筆。プレスコーヒー歴7年。目標は「きちんとした自由人」。執筆活動の傍ら、夫と共に少数民族の手仕事雑貨を扱うアトリエショップ『ノマディックラフト』を運営中。
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