旨い店はタクシー運転手に訊け! 取材NGの博多ラーメン『ばりこて』(東高円寺)をメディア初紹介

美味しいより懐かしい味にこだわり続けて

 博多出身の人が「懐かしい味」と口を揃える『ばりこて』。ご主人の高巣さんは福岡県出身で、博多ラーメンを食べて育ったと言ってました。

 2000年暮れに東高円寺に店をオープンし、最初の頃はなかなか人が入らなかった時期もあったようです。しかし、それでも東京風にアレンジすることなく、博多の本場の味を守り続けて、いつの間にか人気店になっていました。なんとブラジルにまで出店しているんですよ。その真髄はやはり頑なに守ってきた豚骨スープ。

豚の骨を煮込んでとるスープは、約20時間火入れするそう。そこから、さらに熟成させて使用します。新しいスープを作るときは、必ず熟成したスープの一部を継ぎ足すそうで、これを長年繰り返しているそうです
豚の骨を煮込んでとるスープは、約20時間火入れするそう。そこから、さらに熟成させて使用します。新しいスープを作るときは、必ず熟成したスープの一部を継ぎ足すそうで、これを長年繰り返しているそうです

「僕は料理人じゃなくてスープしか作れない、いわばスープ人です。でも、美味しいスープを作り続けることを目標にしてきたというより、僕が懐かしいと思う味を守り続けてきた」と、高巣さんは言っていました。そして、現在、東高円寺本店を任されているのは店長の内藤さん。彼に味を引き継いだそうです。

 その内藤さん曰く「スープ作りって言葉がないんです。濃すぎてもダメ、薄すぎてもダメ、その絶妙な味を作らなくてはいけないんですが、これだけ煮たらこうなるという答えがなくて、今も修業しているような気持ち。正直、ブレもあるんです」と言います。

 スープ作りを高巣さんから教わっていた時も、二人だけにわかる感覚的な用語を作って、「今日のスープはパフッてるね」なんていう風に、他人が聞いたらちんぷんかんぷんな言語で指導されたと言っていました。

“スープのブレ”。これは悪い意味だけに使われるわけではなく、「真面目に作れば作るほど、小さなブレが出る」と、高巣さんが言っていましたっけ。確かに、そのブレを私たちが感じたとしても、丁寧な仕事を感じていれば、それは常連にとって楽しみでもあるんです。

「博多ラーメン」650円
「博多ラーメン」650円

 ぜひ、『ばりこて』さんの博多ラーメンを食べて感じてみてください。たった数十秒で出てくる1杯に感動すると思います。あと1つだけ、実はこちらの水餃子も大好きなんです。もし良かったら、食べてみてください。

「水餃子」320円
「水餃子」320円

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

博多ラーメン ばりこて 外観

店名:博多ラーメン ばりこて 東高円寺本店

住:東京都杉並区高円寺南1-30-15
TEL:03-5378-0326
営:11:30~15:00、17:30~2:00(日~23:00)
休:月

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。