“焼肉”も“ラーメン”も至極!? 食のプロが激オシする名店『本とさや』が旨い理由

まずは七輪で焼く極上焼肉に舌鼓

「特上カルビ」2,800円
「特上カルビ」2,800円

 この日、いただいたのは「特上カルビ」(2,800円)。お肉が提供されて驚くのはその厚み。「親父が戦後のビフテキ世代だったから、自分で食べたい厚さにカットしたんだよ」とは社長の弁。

 これを、七輪で焼いていきます。肉の厚みゆえに、表面はカリッと、中は肉汁が溢れ出すほどにジューシーに焼き上がります。やみくもに高い脂っこいお肉よりも、赤身がつまったしっかりとした肉の味を堪能して欲しいと、あえてランクにはこだわらず、社長が自分で食べて選んだ和牛のみを仕入れています。

「社長の青春ラーメン」1,800円
「社長の青春ラーメン」1,800円

 そして、〆のラーメン。このお店のメインになり得るのでは? と思える逸品の名物「社長の青春ラーメン」が登場。ボディビル経験者の社長の剛健な肉体から発せられる「焼肉は青春だ!!」のひと言より始まった同メニューは、まさに青春を謳歌できるほどのエネルギーを充填してくれる肉食系ラーメンです。

 味わいは、焼肉店ならではの牛スープをコリアンな辛味噌で調味したテグタンがベースです。牛肉と牛骨を丸1日以上炊き込む白湯スープを、コチュジャンベースで甘辛く調味。牛の風味を十分に引き出した味噌ラーメンのような芳醇な香りが特徴的です。トッピングには上ロースを三枚ものせるなど、まさに豪快そのもの。

 さらに特筆すべきは近所の老舗製麺『来集軒』から取り寄せる特製麺。力強いスープに負けじと小麦の風味を主張する中太麺で、不規則な縮れがスープを持ち上げ濃厚な旨みを余すことなく運んでくれます。

 浅草は日本におけるラーメン発祥の地です。明治期、文明開化により流入した中華文化と西洋文化。当時、日本一の歓楽街として賑わった浅草に別々の文化として降り立ったラーメンと牛食。この双方が今、1世紀の時を経て交わっている事実に興奮を覚えずにいられません。

●SHOP INFO

本とさや 外観

店名:本とさや

住:東京都台東区西浅草3-1-9
TEL:03-3845-0138
営:14:00~翌2:00(LO翌1:30)
  土12:00~翌2:00(LO翌1:30)
  日祝12:00~翌1:00(LO翌0:30)
休:なし
http://www.hontosaya.com/

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●著者プロフィール

石山勇人

全国2000軒以上のラーメン店を取材し、執筆監修した書籍は20冊以上。年間700杯以上のラーメンを食べた経験もあるラーメン研究家。現在もテレビ出演やラーメン店の企画・プロデュース、週刊誌、ウェブサイトなどにコラムを寄稿したりと多方面で活躍している。また、その知識はラーメンに限らず、肉やスイーツなど食に関するあらゆる面において造詣が深く現在は、ラーメン以外のグルメジャンルへも活躍の場を広げている。