一部でプロ級の舌を持つと噂のタクシー運転手・荒川治さんに教えてもらう「東京・B級グルメ案内」。今回は、荒川運転手が「どの種類のスープも魂が込められており、絶対に食べておくべき！」と絶賛する東京・千代田区三崎町の『中華そば勝本』へ。さっそく道案内をお願いしよう。
お客さんは、ラーメンの何味が好きですか？
ラーメン屋さんというと、店それぞれに味噌や塩、醤油、豚骨、煮干しなど、看板となる味があり、つい自分の好きな味で店を探しがちです。私もそれぞれの味ごとにお気に入りの店がありますが、今回ご案内したい『中華そば 勝本』さんの場合、「塩」や「醤油味（中華そば）」、「濃厚煮干し味」を出していて、どれもお気に入り！ 全部、完璧なんです。だから『勝本』さんに行った時は、毎回、どの味にしようか迷うんです。
そう言いながらも実は私は、「塩そば」が好きで、メニューにあれば、それをチョイスしがち。というのも、醤油や味噌など発酵調味料は味が濃く、日本人が感じる大豆の旨味成分が強いのでスープ自体の味に若干ベールがかかります。一方、塩味は、スープそのものの味がわかりやすく、また“返し”の塩の塩梅がとても難しいと思うのです。
だから、「塩そば」が旨い店というのは、スープも“返し”も丹精込めて作っているので、それを感じたくて、つい「塩味」を選んでしまうのです。
そんなわけで、先日も、勝本さんで「塩そば」を食べたのですが、食べ終わったらすぐに「濃厚煮干しつけそば」を食べたくなって注文しちゃいました。つまり1度に2杯。また別の日には「塩そば」と「中華そば」といった具合。大食いだと言われればそれまでですが、それくらい食べたくなるし、2杯食べてもそれぞれの上品な味わいで、1滴も残さずペロリ。くどくないので胃もたれすることはありません。それくらい『勝本』さんのスープは絶品なんです。
