謎多き巨大焼き鳥チェーン『やきとり大吉』はなぜ人気なのか? 中の人に秘密を聞いてきた!

他チェーンが見向きもしない「住宅街」で展開することで需要を独占!

『やきとり大吉』のカウンター席
『やきとり大吉』のカウンター席

『やきとり大吉』は安心して食べられる価格と、お店ごとに仕込む焼き鳥の味わいが魅力です。一見難しそうにも感じるこのシステム、どのようにして確立されたものなのでしょうか? 担当者に聞きました。

「焼き鳥屋で重要なことは、きちんと目利きした仕入れ、心をこめた仕込み、新鮮な焼き鳥の提供に徹すること、これらを愚直に実行し続けることです。その理念が重要だと考えています。

 会社創業当初の『やきとり大吉』では『商売をしたい気持ちはあるが、資金がない』といった若者層と、『資金はあるが、自分で商売はできない』といった人間を引き合わせる『店舗銀行システム』というユニークなコンセプトを打ち出しました。

 このコンセプトで、飲食店向けの内装設備付きリース店舗の展開をスタートさせたのが始まりで、500を超えるチェーン展開に至りました」(担当者)

 結果、『やきとり大吉』は居酒屋チェーンの走りとしても知られるようになり、各店舗で多くの人に愛され続けているのはご存の通りです。ただし、少々不思議なのは「え? こんな場所に?」と思うような住宅地や非繁華街でも『やきとり大吉』の看板をよく目にする点。これについて聞いてみると……。

「創業当時は、店数やエリアなどの出店計画がなく、商売をしたい人がいるエリアに出店を重ねていきました。海外も同じです。結果的に、他のチェーン店が見向きもしなかった郊外や住宅街に展開することで需要を独占でき、一人勝ちの状況を作り出すことができました」(担当者)

「住宅街」特有の問題を解決させた電気グリラー

『やきとり大吉』独自開発の電気グリラー
『やきとり大吉』独自開発の電気グリラー

 ただし、「住宅地ならでは」の特有の苦労も多くあったそうです。特に、商業エリア以外の家主さんの中には「焼き鳥の煙や匂い」を気にする人もおり、店舗物件を貸してもらえないことも多々あったと言います。そこで『やきとり大吉』では、この難問をもクリアすべく、あるオペレーション機材の開発に乗り出しました。それが専用の電気グリラーです。

 この電気グリラーによって、焼き鳥を美味しく焼くと同時に、煙や匂いをできるだけ出さずに済むようになったんだそう。

「炭火の焼き台のみにこだわらず開発した電気グリラーは、さまざまな方々の意見や要望を聞いて実現させたものです。こういった『改善』の積み重ねもまた、『やきとり大吉』の特徴です」(担当者)

店主自身が汗を流して働く「生業」として商売に徹する

『やきとり大吉』は各店の店主が主人公です
『やきとり大吉』は各店の店主が主人公です

 ここまで紹介してきた通り、革新的な開業システムを採用しながら、各店の顧客・店主・店舗の家主といった多方面に配慮し改善を続けてきた『やきとり大吉』。しかし運営のダイキチシステム担当者は「主人公は店主」だと言い切ります。

「創業当初からのコンセプトは、『店主自身が汗を流して働く『生業(なりわい)』として商売に徹する』というものです。本部は、電気グリラーやメニューなどを提供する一方で、仕入れ・仕込みなどは各店主が独自に行っています。

とくに店主自ら作り上げる『つくね』、王道の『はさみ(ねぎま)』、パリッと焼き上げる『かわ』が人気の串メニューです」(担当者)