外房のクラフトビール文化の牽引役! 挑戦する酒屋「ちょうせいや」を訪ねて。〈後編〉【房総food記】

自分好みのビールスタイル or ブルワリーを見つけて!

鈴木さんが注目しているブルワリー「反射炉ビヤ」(静岡・伊豆の国)の人気ラインアップ。左から順に、「太郎左衛門」(イングリッシュペールエール)、「早雲」(アメリカンペールエール)、「頼朝」(ブラウンポーター)以上全て1本570円、「大吟醸政子」(静岡大吟醸酵母ビール)1本750円。「ここは、3名の醸造家のそれぞれの個性が引き出された、遊び心も感じられる銘柄が毎月のようにリリースされているんです!」
鈴木さんが注目しているブルワリー「反射炉ビヤ」(静岡・伊豆の国)の人気ラインアップ。左から順に、「太郎左衛門」(イングリッシュペールエール)、「早雲」(アメリカンペールエール)、「頼朝」(ブラウンポーター)以上全て1本570円、「大吟醸政子」(静岡大吟醸酵母ビール)1本750円。「ここは、3名の醸造家のそれぞれの個性が引き出されて、遊び心も感じられる銘柄が毎月のようにリリースされているんです!」

 ところで、クラフトビールビギナーの場合、初めはどんなものから飲み始めればいいのでしょうか?

「クラフトビールには、原料や製造方法の組み合わせで、いろんなスタイルのものがあるんです。なので、まずは自分の好きなビールスタイルを見つけることが大切ですね。例えば、『ヴァイツェン』と呼ばれる小麦を使用したビールは苦味が少なくて飲みやすいですし、『IPA』と呼ばれるビールはホップ由来の香りや苦みが感じられるので、この二つは、初めての方にも普段飲んでいるビールとの違いがはっきり分かってもらえると思います」

 好みのスタイルを見つけたら、今度は他のブルワリーで造っている同様のスタイルのビールを飲み比べしていくと、どんどん世界が広がっていくといいます。

「大切なのは、例えそのビールスタイルが好みに合わなくても、他の醸造所が造っている同じスタイルのビールまで判断してしまわないこと。同じスタイルのビールでも、醸造所ごとに使っている原料や製造方法が異なるので、別の醸造所のものを飲んでみたらピッタリくることもあるんですよ」と鈴木さん。「ほら、例えば同じ味噌ラーメンだって、あっちの店よりもこっちの方が好みだっていうのがあるでしょう? ビールもそれと同じです(笑)」。

 クラフトビールは、ワインや日本酒に比べると、ボトルのサイズも小ぶりで価格も手頃。実は、飲み比べがしやすいお酒でもあります。そのため、「まずは飲んでみてほしいです」。

「今流通しているクラフトビールは、昔に比べて間違いなく美味しくなっているので、ブームにとどまらず、もっと根付いていいお酒だと思っています。だから、本当はさらに浸透してほしい。うちに来てもらえれば、会話をしながら好みの一本を探します。それはうんちくを語りたいからじゃなくて(笑)、ビールを通してお客さんとつながりたいから。もっと一緒にビールを楽しみたいんです」

 各地の造り手たちが切磋琢磨して生み出すクラフトビールに出会ってから、「仕事が本当に楽しくなった」と話す鈴木さん。店を訪れる人に、熱心にビールを説明するその姿からは、大切な友人たちを紹介するような愛情と熱意が感じられ、つい長居をしてしまいます。

 そんな鈴木さんが大切にしているのが、交流のある醸造家の方から贈られたという言葉。

「“外房のビール文化は、ちょうせいやが作っていくんだから”って言ってくれたんですよね。だから中途半端な店にはできない。お客さんから教わりながら僕も成長して、地元にもっとビール好きを増やしたい。外房地域にクラフトビール文化が根付くように、これからも誠実にやっていきたいです」

 ビール愛、幅広い品揃え、的確な品質管理。三拍子揃った「ちょうせいや」は、間違いなく千葉が誇るお店の一つ。これからも末長~く酔わせてください!

日本のクラフトビールの多くは、原料由来のフルーティーさが味わえる「エール」(上面発酵)が主流だが、「ラガー」(下面発酵)の魅力にも改めて触れてほしいという鈴木さん。ラガーというと、日本では大手メーカーのビールのイメージが強いが、それらは麦芽の他に米やコーンスターチなどの副原料が使われていることが多い。しかし、写真のジャーマンピルスナー「プランク ピルザール」(1本630円。「ピルスナー」とはラガーの一種)は副原料不使用のため、「麦芽本来の美味しさを感じられてオススメ。ラガーのイメージも変わると思います」。輸入元である「コバツトレーディング」からは、品質管理の重要性をはじめ、ビールを扱う側として大きな影響を受けたという。
日本のクラフトビールの多くは、原料由来のフルーティーさが味わえる「エール」(上面発酵)が主流だが、「ラガー」(下面発酵)の魅力にも改めて触れてほしいという鈴木さん。ラガーというと、日本では大手メーカーのビールのイメージが強いが、それらは麦芽の他に米やコーンスターチなどの副原料が使われていることが多い。しかし、写真のジャーマンピルスナー「プランク ピルザール」(1本630円。「ピルスナー」とはラガーの一種)は副原料不使用のため、「麦芽本来の美味しさを感じられてオススメ。ラガーのイメージも変わると思います」。輸入元である「コバツトレーディング」からは、品質管理の重要性をはじめ、ビールを扱う側として大きな影響を受けたという。
全国各地のブルワリーに“ビール遠征”に出かける常連さんからお土産のビールを贈られることも多いという店主の鈴木さん。「これから取引してみたいブルワリーもたくさんあります!」。今後は、クラフトビールが飲める空間もつくってみたいと夢を掲げた。
全国各地のブルワリーに“ビール遠征”に出かける常連さんからお土産のビールを贈られることも多いという店主の鈴木さん。「これから取引してみたいブルワリーもたくさんあります!」。今後は、クラフトビールが飲める空間もつくってみたいと夢を掲げた。
田園地帯に突然現れるレトロな酒販店。その外観からは信じられない品揃え(スミマセン)で、ギャップ萌え必至! 勇気を出して入店すれば、驚きの世界が待っている。
田園地帯に突然現れるレトロな酒販店。その外観からは信じられない品揃え(スミマセン)で、ギャップ萌え必至! 勇気を出して入店すれば、驚きの世界が待っている。

●SHOP INFO

店名:ちょうせいや

住:千葉県長生郡長南町岩川408-5
TEL:0475-46-1188
営:9:30~19:00
休:第2・3月曜
カード:使用不可
駐車場:7台(無料)
https://www.facebook.com/liquor69chouseiya/
※価格はすべて税別表記。
※掲載内容は投稿時点での情報です。最新の入荷情報などは上記Facebookをチェック。

●著者プロフィール

白井いち恵

千葉市育ち&在住の編集者・ライター。『千葉の本』『千葉の本2』(京阪神エルマガジン社)を手がけ、出身地・千葉県の知られざるおいしい&楽しいを大特集した。路線バス好きでもあり、著書に『東京バス散歩』(同上)。