大阪スパイスカリーの名店『旧ヤム邸』が“唯一無二のキーマ”を携えて下北沢に登場!

ところで、大阪スパイスカリーってなんだ?

 3つのキーマをいただくと、全く違う味と香りが。キーマカレーという1つのイメージしかなかったので驚かされる。また、3つを混ぜてみると、4つ目の味に変化して、さらに面白い。

 ところで、“大阪スパイスカリー”ってそもそも何だろう。

「そういう呼び方は、5~6年前からメディアに登場し、括られているようですが、正直なところ、これといった特徴がないんです。それぞれの作り手の個性が強くて千差万別。ただ、大阪人の気質として、自分を個性的に表現したいという人が多く、また奇想天外な発想をしたがる。その表現方法にスパイスはぴったりなんだと思います。とにかく、大阪にクセの強い個人カレー店がどんどん増えていて、今、カレー天国のような状態になっているのは確かです」

『ヤム邸』のスパイスは、ホール、パウダー全30種類ほどを、様々な方法で使う。
『ヤム邸』のスパイスは、ホール、パウダー全30種類ほどを、様々な方法で使う。

『ヤム邸』のキーマを味わってみればわかるが、インドやネパール、スリランカなどとも違い、日本を含め世界各国の様々なスパイスや食材を自由に組み合わせている。確かに個性が強く、“唯一無二”の味わいだ。

「それと、大阪スパイスカリーの特徴といえば、音楽をやっている人が多いことかな。みんな、いろいろなジャンルをミックスした個性的な音楽をやりながら、カレー屋を開くんです。音楽とスパイスは、どこか近しいものがあるのだと思います。また、本来は別の用途で使用している場所の開いている空間を、間借りをしながら週に数回、ランチだけ、または夜だけなどといった具合に、限定でやっている人も多いようです。こうした”間借りカレー”の文化は、東京にはまだあまりないので、大阪スパイスカリーの特徴かもしれませんね」

店長の藤田さん(右)
店長の藤田さん(右)

 なるほど、音楽とスパイスか……。そういえば、シモキタは音楽の街だ。
「そうなんです。音楽関係の方がたくさん、食べに来てくれます。シモキタにしてよかった!」と嬉しそうな藤田さん。

 ところで、藤田さんに「大阪のレアなおすすめカレーを教えてください」と聞いたら、次々と教えてくれた。なんと親切な。「大阪弾丸カレーツアー」でもやろうかなと思いつつ、残り少なくなった「ぜんがけ」に、スープをかけてさらさらさらと食べつくすと、スパイシーなのに、まるで“味噌汁がけご飯”を食べたかのようなほっこりした気持ちになった。ますます摩訶不思議な大阪スパイスカリーに興味津々。ハマりそうだ。

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

旧ヤム邸シモキタ荘 外観

店名:旧ヤム邸シモキタ荘

住:東京都世田谷区代沢5-29-9 ナイスビル1F
TEL:03-6450-8986
営:11:30~14:30(14:00LO)、18:00~21:30(21:00LO)
休:火
https://twitter.com/kyuyamshimokita