もう普通のコーヒーじゃ物足りない!名店『ベルニーニ』で極上コーヒーの淹れ方を教わった

美味しいコーヒーを淹れるコツ。

岩崎俊雄さんは、SCAJ認定コーヒーマイスター。コーヒーのことについてなんでも教えてくれるので、カフェや喫茶店経営者、これから珈琲専門店を開きたいと考える人などが多く訪れる。
岩崎俊雄さんは、SCAJ認定コーヒーマイスター。コーヒーのことについてなんでも教えてくれるので、カフェや喫茶店経営者、これから珈琲専門店を開きたいと考える人などが多く訪れる。

 滞在中にも、お客さんが次々と訪れる。その半分以上の人が、豆を買っていく。
「うちの豆の特徴としては、最高級の豆を、少量焙煎をしていることです。大手のチェーン店は50kg、専門店でも3kg単位で焙煎をしますが、うちは1kgずつやります。時間も手間もかかるけど、やはり豆1粒1粒の状態を見るには、そのくらい小まめにやらないと、“良いコーヒー”にならない」

焙煎機で、火力・排気の調整をして豆を焼く。豆の色を見て、ベストな焙煎ポイントを判断して取り出し、一気に空気を流して冷却する。200℃近くで取り出した豆は余熱でさらに焙煎が進んでしまうので、絶妙なタイミングで取り出すことが大事だという。
焙煎機で、火力・排気の調整をして豆を焼く。豆の色を見て、ベストな焙煎ポイントを判断して取り出し、一気に空気を流して冷却する。200℃近くで取り出した豆は余熱でさらに焙煎が進んでしまうので、絶妙なタイミングで取り出すことが大事だという。

 “良いコーヒー”という言葉が耳に残る。ちょうどコーヒーを飲み終わったので、今度は別の種類を頼もうと席を移動し、カウンターに座った。「あの、美味しいコーヒーの淹れ方を教えていただけますか?」

 すると、岩崎さんはまるで続きを話すように、「良い豆を買えば、もう7~8割は成功なんですよ。実は、難しいテクニックは必要ないんです。あとはほんのちょっとの注意だけです」とニッコリ。

「大事なことは“お湯の温度”と“全部絞り切らない”こと。どんな豆でも良い成分と、そうではない強い成分が含まれています。沸騰した湯をいきなりかけると、豆へのダメージが大きくなります。また、いつまでも湯に浸していると、強い成分が出てきて、これらが“えぐ味”につながります。そこで82~83℃のお湯を使い、ゆっくり4~5回注ぎます。そして最後の注ぎの途中、ペーパードリッパーにお湯が残った状態で抽出をやめることです」

むくむくと盛り上がってくるのがコーヒードーム。
むくむくと盛り上がってくるのがコーヒードーム。

 岩崎さんがコーヒーポットから湯を淹れる手元を見ていると、低めの位置からドリッパーの真ん中にだけに、小さく「の」の字を書くように湯をさしている。
「この盛り上がるのが“コーヒードーム”です。これができるのは豆が新鮮な証なんです」と、湯を注ぐのをやめる。

「この状態では、途中で触りません。コーヒーの粉が蒸され、この時、美味しいエキスが出てきているんです」。

 これを4回繰り返し、カップに適量に落ちたら、ドリッパーの湯を全部絞り切らずに、素早く取り外した。カップに注がれたコーヒーの上に小さくできた泡をきれいにスプーンでとって、できあがり。なるほど、簡単だ!

「コーヒーは毎日飲むでしょう。好きな人は1日に2~3杯は飲みますね。1年にしたら1000杯くらいになる。だからこそ、古い豆や、作り置きの酸化したものは体に良くない。新鮮な豆を少量ずつ丁寧に焙煎するのが大事。コーヒーは、体に良いもの、優しいものでないといけないと思っているんです」

 そうか。“良いコーヒー”というのはそういう意味だったのだ。ではもう1杯!
 もう、普通のコーヒーが飲めないのではないか……とすら思える深い味わい。帰りに、豆を購入。さっそく家に帰って淹れてみよう!

岩崎さん親子で、コーヒーの本当の美味しさを教えてくれる。
岩崎さん親子で、コーヒーの本当の美味しさを教えてくれる。

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:自家焙煎珈琲屋 カフェ・ベルニーニ

住:東京都板橋区志村3-7-1
TEL:03-5916-0085
営:13:00~19:00(土曜はコーヒー豆、器具の販売のみ)
休:火・水・祝