“麻辣好き”がハマりまくる「火鍋ラーメン」は、四川料理を熟知したシェフの渾身作!

日本人の舌に合う「火鍋スープ」の旨さの秘訣

 気を取り直して、調査を再開。「なぜこの麺は、こんなに人を骨抜きにさせるのか」。シェフに話を聞かずにはいられなくなった。

 実は、こちらのシェフ・菰田欣也(こもだ・きんや)氏は、日本における、“四川料理”の父・陳建民氏の下、30年間渋谷の「szechwan resutaurant 陳」で勤め、料理長だった方。独立後、四川飯店の支店だった『ファイヤーホール陳』を買い取り、今年9月に名称を『ファイヤーホール4000』に変更し、オーナーシェフになった人なのである。

「確かに、本場・四川の火鍋はスープを飲みませんよね。具材をしゃぶしゃぶして、お客さん自身が好みで作った調味料につけて食べます。ただ、長年、四川料理を日本で作り続けてきた経験から、本場のままでは、日本の“汁好き食文化”には合わないと思っていました。現地の火鍋は牛脂と塩分が多く、日本人は胸焼け気味になり、たくさん食べられません。そこで脂分や塩分、辛味を抑え、旨みを追求したスープを作ろうと思ったんです」

 菰田氏のスープの旨みのベースは、シンガポールの漢方スープ「肉骨茶(パクテー)」だ。スペアリブとニンニク、生薬を入れて作る。これが火鍋の白湯(パイタン)スープである。

 火鍋の赤いスープは、自家製豆板醤が最大のポイント。豆板醤と豆鼓、花山椒、香辛料を合わせ、油で熱して香りを引き出し、そこへ白湯スープ、豚の背脂、生姜を入れて炊きあげる。これを1日寝かせて、味に角が取れ丸みが出たものを使う。

「自家製の豆板醤は、そら豆と塩と唐辛子と麹で発酵させている完全発酵調味料です。輸入ものと違い、発酵を止めていないので“生きている豆板醤”なんです。また、使っている豚肉は、群馬県太田市の加藤ポーク。餌からこだわり、脂の旨みが素晴らしいんですよ。加藤ポークは冷凍をしないのがこだわりで、毎日新鮮なものを使います」

 この絶品スープに、少々、辛さと塩分を強くして麺に合わせているのが「火鍋ラーメン」なのだ。とんでもなく奥深いスープである。