超一流の寿司が1貫から立ち食いできる! 東京・末広町の『鮨スタンド 三六五』に行ってきた

気軽&気楽なのに、味は超一流の寿司に舌鼓

東京メトロ銀座線・末広町駅から至近というアクセスの良さ
東京メトロ銀座線・末広町駅から至近というアクセスの良さ

『鮨スタンド 三六五』は、東京メトロ銀座線・末広町駅から徒歩約1分、妻恋坂交差点のすぐそばにありました。見た目は屋台風ではありませんが、店先に本日のお品書きが表示してあり、これは間違いなく明朗会計店と確認。

 入店してみると、美しい白木のカウンターと木箱に収められた美しいネタ、お櫃に入ったシャリなどが目に飛び込んできます。まるで高級寿司店のような雰囲気なのですが、オールスタンディング方式、つまり立ち食いです。そしてお客さんの目の前に職人さんが付いて一貫ずつ握ってくれるという、これまた一流寿司店のごときシステムなのですが、注文は卓上にある紙に書いて握ってもらうシステム。

 なんだか高級寿司店とリーズナブルな寿司屋、両方の雰囲気を感じる不思議なお店なんです。

本日のお品書き。豊洲市場水産仲卸直営店だけあって、ネタは毎日変わるそう。オススメのネタには◎印が付いています
本日のお品書き。豊洲市場水産仲卸直営店だけあって、ネタは毎日変わるそう。オススメのネタには◎印が付いています

 本日のお品書きを見てみると、1つ1つのネタの水揚げされた全国各地の地名が記されており、仲卸人が厳選したネタであることがしっかり伝わってきます。ちなみに握り1貫の値段は280円~990円の9段階。また「本日の5貫」(1650円)というオススメセットもありました。

 というわけでいざ注文です。といっても、カウンターに置いてある用紙に書き込むだけ。隣の友人は「あれも食べたい、これも食べたい」とペンをスラスラ走らせています。

明朗会計の極地。注文はこの用紙にチェックして目の前の職人さんに渡せばOK。途中で追加もできるし、全部食べ終わって足りなければ改めて追加も可能
明朗会計の極地。注文はこの用紙にチェックして目の前の職人さんに渡せばOK。途中で追加もできるし、全部食べ終わって足りなければ改めて追加も可能

 しかし、筆者はペンを持ったまましばし固まってしまいました。筆者と同様、セコい人ならお気づきでしょうが、ネタに迷っているのではなく、値段に躊躇していたんです。

 だって、一番安いので1貫280円。その上は330円。下から順に全8貫頼んだとしましょう。これだけで2490円です。しかも8貫じゃ絶対にお腹が満たされません。続いて、その上の380円も頼んだら全13貫になり、量的にはちょうどいい具合ですが、お会計は4390円します。ランチ寿司かつ立ち食いという条件を考えると、ややお高め。明朗会計ではあるけれど、ネタが良いぶん、さすがに価格はそれなりにしますね。

「小肌」(熊本県天草産)単品280円
「小肌」(熊本県天草産)単品280円

 となると、ネタの1つ1つが、かなり高級な1貫だということ。そこで、もう開き直って食べたいネタを注文することにしました。まずは筆者の大好物の光りものから。例えば小肌は最安値の280円です。そして、小肌(新子)の名産地といわれる熊本天草産のもの。これは期待できます。

 登場した小肌は、ネタが大きく、シャリは小さめのタイプ。刷毛で煮切り醤油がひと塗りされているので、醤油につける必要はなし。色は艶めかしく、食べれば脂のノリが素晴らしい。そして酢の酸味がまろやかで、口中でその旨みがとろけていくようです。これはイイ、これはめちゃくちゃ美味しい!

「アジ」(鹿児島県出水)380円
「アジ」(鹿児島県出水)380円

 続いてアジ。今日は、これまた名産地される鹿児島県出水産の極上品です。身が厚く、噛むとムギュッと甘い。その甘さを引き締めるかのようなアサツキがちょこんとのっていて、ちょっぴり硬めに炊かれた酢飯がハラハラとほどけて、アジの旨みとアサツキの苦味が交わる。最高じゃないですか!

 光りもの2連発で、確信しました。有名な高級寿司店に負けず劣らず、めちゃくちゃ丁寧な仕事が光る握りが堪能できる店だということに。

「白子ポン酢」(北海道根室)330円
「白子ポン酢」(北海道根室)330円

 さらに今の冬の時期の旬の白子。これまた名産地である北海道根室産の白子です。

 妖艶に艶めく大ぶりの白子がドンとシャリの上に鎮座して、こぼれる寸前。瞬時に口に放り込むと、とろんとしたなめらかな口当たり。ふんわりと舌の上で溶けて、白子のクリーミーなコクが広がり、幸福感絶頂です。これが330円なんて、安いじゃないですか。

「蒸しカキ」440円は、北海道仙鳳趾(せんぽうし)産のもの
「蒸しカキ」440円は、北海道仙鳳趾(せんぽうし)産のもの

 さらに冬の北海道いえば牡蠣が旬ですよね。とくに牡蠣で有名な厚岸湾の端に位置する仙鳳趾の牡蠣は、身が大きく、ぷりぷりしていて引き締まっていることで知られています。

 実際、登場した蒸しカキを見て「うわ、大きい!」と声が出てしまいました。シャリを覆い隠しつつ、ぷるっぷるっと揺れ動く見事な牡蠣。塩がかかっているので、これもひと口でいただきます。贅沢な磯の香りが広がり、ぷりっぷりの弾力。そして濃厚な牡蠣のエキスがジュワ~ッと口中にほとばしって、これまた夢心地です。

煮穴子(長崎県対馬)380円
煮穴子(長崎県対馬)380円

 このほか、本マグロ赤身や煮穴子、金目鯛炙り、スミイカ、〆鯖などなど、1人14貫食べました。結局、5000円弱という、ランチにしてはややお高い会計になりましたが、ネタのよさ、職人さんの仕事の高い質を考えれば、もはやコスパが最高だと思いました。

 サクッと気軽に、超一流な握り寿司を味わえる。これはありそうでないお店です。ある日ふと思いついて、どうしてもウマい寿司が食べたい! 何が何でも万難を排して寿司屋に行きたい! と思ったら、立ち食い高級寿司の暖簾をくぐる、というのはかなりアリな選択肢だと思いました。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:鮨スタンド 三六五

住:東京都千代田区外神田3-6-5
TEL:03-5809-3363
営:平日12:00~15:00(14:30LO)、17:00~22:00(21:30LO)
  土12:00~15:00(14:30LO)
休:日曜