ワインが短時間で飲み頃に!魔法のデキャンタ「DC700」を使ってみた

0.1ミクロンレベルの凹凸でデキャンタの時間を短縮

 Birdyは、50年以上、愛知県の豊田市で自動車部品を作ってきた職人たちの研磨技術から生まれたファクトリーブランドです。もともとは2013年にバーテンダー向けのカクテルツールを出していましたが、2017年に登場したのがこのデキャンタです。

片手で持てるちょうどいいサイズ感。一切の無駄がないフォルムはテーブルで主張しすぎない。
片手で持てるちょうどいいサイズ感。一切の無駄がないフォルムはテーブルで主張しすぎない。

 デキャンタはガラスでできているものが一般的ですが、Birdyのデキャンタはステンレスでできています。サイズは約φ93 × 145mm、容量は約700mlとなっており、グラス1~2杯分のワインをデキャンタージュできるようになっています。飲みたいタイミングで欲しい量だけデキャンタージュできる手軽さが魅力です。

 容器の内側を見てみると、普通のステンレスのように見えますが、実は0.1ミクロンレベルでの凹凸が施されており、これによりデキャンタージュにかかる時間を短縮できる仕組みです。伝統的な手法で作られたクリスタルガラスのデキャンタの場合も、内側に目に見えない凹凸があるので、それと同じ手法ですね。

目には見えないが、0.1ミクロンレベルの凹凸が施されている。触っても凹凸はほぼ感じないレベルだ。
目には見えないが、0.1ミクロンレベルの凹凸が施されている。触っても凹凸はほぼ感じないレベルだ。

ワインの回し方でデキャンタージュ具合が変わるのか?

 今回の試飲では、ワインボトルからそのままグラスに注いだもの、デキャンタを少し斜めに傾けて内側をゆっくりなぞるように一周させたもの、デキャンタをそうっと1、2回まわしたものという3種類を飲み比べてみました。

グラス1~2杯分のワインを注いで、回し方を変えることでデキャンタージュの度合いが変わる。
グラス1~2杯分のワインを注いで、回し方を変えることでデキャンタージュの度合いが変わる。

 試飲したワインはスーパーで買えるようなお手頃価格のものです。本来、デキャンタージュに向くワインは、おりの発生しやすいボルドーの古い赤ワインだと言われていますが、今回はそのあたりは気にせずワインを選びました。

左から順に、マルキワイナリー/ベーリーA、カンティーネ ロンコ/サンクリスピーノ ロッソ、サンタ・ヘレナ/アルパカ カルメネール2016を試飲した。
左から順に、マルキワイナリー/ベーリーA、カンティーネ ロンコ/サンクリスピーノ ロッソ、サンタ・ヘレナ/アルパカ カルメネール2016を試飲した。

■マルキワイナリー/ベーリーA(山梨)

 マルキワイナリーは、現存する日本最古のワイナリーです。このワインに使われている「マスカット・ベーリーA」は、山梨県で多く栽培される赤ワイン用ブドウ。フレッシュな果実味に溢れ、強めの酸味、軽めのタンニンが特徴です。

 本来であれば、デキャンタージュする必要のないワインですが、デキャンタージュすると味わいに変化が! しっかりデキャンタージュすることで、酸味に丸みが生まれ、落ち着いた味になったのです。香りにおいても、甘さ以外の華やかさもわずかに出ているような印象です。

 ただし、タンニンが少ないので変化はごく控えめ。ワインを飲み慣れていない人にも飲んでもらったのですが、「3つの違いはあまりわからない」とのこと。やはり、これくらいフレッシュで軽い飲み口のワインにはデキャンタージュは必要ないようです。

■カンティーネ ロンコ/サンクリスピーノ ロッソ(イタリア)

 イタリアのエミリオ・ロマーニャ州最大規模の生産者組合「チェヴィコ・グループ」が生産するリーズナブルなこちらのワイン。軽い飲み口のフルーティーなワインとなっています。パックタイプなのが使いやすくて、筆者は料理に使うことが多いのですが、そのまま飲んでもまぁまぁアリ。

 ちょっと軽すぎると感じていたこのワインですが、デキャンタージュしてみると、フレッシュさが落ち着きました。とはいえ、やはりライトボディのワインの場合、「内側をゆっくりなぞるように一周させたもの」と「デキャンタを1、2回まわしたもの」の違いはかなり出にくいです。

■サンタ・ヘレナ/アルパカ カルメネール2016(チリ)

 今回、試飲したなかで、唯一のフルボディです。濃厚な果実味と、グリーンハーブやスパイスの風味が相まって、かなりインパクトのあるワインです。これまでに試飲したワインが軽い口当たりだったので、試飲に付き合ってもらった人には「ちょっときついかも」と言われました。ちなみに、筆者はこれくらい力強さのある赤ワインを肉料理に合わせるのが好きです。

 このワインの場合、デキャンタージュするとその差は歴然。3つの状態ですべて味や香りが異なり、変化していることがはっきりわかります。赤ワインならではの渋みはデキャンタージュするごとに落ち着き、より華やかな味と香りへと変化したように感じます、最初が野性味溢れる状態だとすれば、徐々に洗練されていくイメージです。

 いずれのデキャンタージュも、Birdyのデキャンタを使えばせいぜい1~2分で終わります。筆者の主観によるテイスティングではあるものの、赤ワインはデキャンタージュすることで大なり小なり味や香りに変化が生まれることがはっきりわかりましたし、こんなに一瞬のひと手間で違いが生まれるのも面白い発見です。これからは買ったワインの味が少し合わないかなと思ったときに、さっとデキャンタージュして味を変えてみたいと思います。

 Birdyのデキャンタは、18,144円(税込)。ワイン通はもちろんのこと、ワイン初心者の方がワインの奥深さを手軽に知れるきっかけになる名アイテムです。デキャンタージュを通して、ワインの楽しみ方を広げてみませんか?

●DATA

Birdy

http://birdy-j.com(ブランドサイト)
http://birdy.shop(公式オンラインショップ)

●著者プロフィール

取材・文/今西絢美

編集プロダクション「ゴーズ」所属。デジタル製品やアプリなどIT関係の記事を執筆するかたわら、“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事も執筆中。旅先でその土地ならではのローカルフードを探すのが好き。