荻窪の大人気中華『呉さんの台湾料理』の絶品「塩レモン焼きそば」が美味しすぎる!

頑張りすぎた料理人

 呉さんこと、呉瑞榮(ウー・ジェイロン)さんは1958年、台湾の新竹市で生まれの客家(ハッカ)。最近では、客家料理は日本でも広く知られるようになりましたが、両親を早くに亡くした呉さんにとって、料理は家庭の味というより、若くして働かざるを得ず、長年修業によって身につけた仕事の味だそう。17歳で軍隊の料理人になったり、その後は台湾の観光地のレストランで働いたり。その時々の相手に求められる料理を試行錯誤してきたといいます。

 そして、ひょんなことから来日後、1992年に高円寺に知人とお店を出店。1998年には独立して、新宿御苑の『呉さんの厨房』という店を出し、味の良さが評判となって、トントン拍子に人気店に。その秘訣もまた、「日本人の舌に合うように」と考え抜いた台湾料理がみんなに愛されたからなのです。

 そうして、寝る間も惜しんで12年間働き続けてきたある日のこと。朝起きたら体の右半分が麻痺してまったく動けなくなったそうです。

いまでも右手を動かすときに、やや痛みがあるという
いまでも右手を動かすときに、やや痛みがあるという

「最初は脳の問題かと思いましたが、病院に行っても原因がわからず、最終的についた診断は、筋・筋膜性疼痛症候群でした。いわゆる使いすぎによって筋肉の癒着が起きていたようです」(呉さん)

 やむなく2010年に店を締め、3年間にわたるリハビリ生活を送った後、ようやく体を動かすことができるようになったのは2013年。そして現在の店をオープンしました。

「この荻窪という場所は住宅街の入り口なので、以前のオフィス街の時よりはのんびりやれています。もう63歳ですし、ゆっくりのんびり料理を作っていきたい」と呉さん。

ランチは1000円でセットメニューになっていて、呉さんのいろいろな料理が味わえます
ランチは1000円でセットメニューになっていて、呉さんのいろいろな料理が味わえます

 働きすぎ、頑張りすぎ。その結果、体を壊した呉さんですが、その頑張りは、やはり料理に感じます。丁寧さと工夫があり、お客さん想いの安心できる味。ぜひ、そんな呉さんの優しい台湾料理を一度食べてみてください。

(撮影・文◎ナナノナノ)

●SHOP INFO

店名:呉さんの台湾料理

住:東京都杉並区天沼3-1-5
TEL:03-3393-1068
営:木~日ランチ11:30~14:30(14:00LO)、ディナー17:30~22:30(22:00LO)
休:月・火・水
※緊急事態宣言中は営業時間に変更がある可能性があります。店舗にお問い合わせください