南柏の人気キムチ専門店が作る絶品からあげ「キム唐」を食べてきた

気になる「キム唐」の味わいは?

 色がやや赤く、かすかに唐辛子の香りも感じます。ここで筆者、普段はまずやらない行動に出ます。衣をちょっとだけはがしてみました。すると肉も赤くなっています。う~む、これは辛そう! しかし辛いものが決して苦手ではないので、思い切ってガブリといってみました。

「!?!?」

 あれ? 意外に辛くありません。いや、むしろ辛味を感じないと言ったほうがよいでしょう。色合いからは、火を噴くような辛さを想像してしまいましたが、これは想定外。キムチの味とコクがしっかり感じられ、そして微かな甘みも舌の上に広がります。

ちょっとだけ衣をめくってみると、肉まで赤い!
ちょっとだけ衣をめくってみると、肉まで赤い!

 目を白黒させていると、「唐辛子には甘みもあるんですよ」と店主の矢ケ崎敏一さん。肩肉はモモ肉よりも弾力に富み、旨みもモモ肉に負けていません。ゼラチン質も豊富で肉汁もたっぷりと出てきます。こってりとした味わいで、白いごはんの援護射撃がほしくなります。

雪塩使用の自家製塩ダレに漬けた「塩唐」も最高

「塩唐」350円。たっぷりの肉汁にやられてしまいます
「塩唐」350円。たっぷりの肉汁にやられてしまいます

 もうひと品、いただいたのはもう一つの名物「塩唐」。宮古島の雪塩をベースにした自家製の塩ダレに肩肉を漬け込んだものです。シンプルな味付けのため、肉の味を存分に感じられます。

 おまけにこれまた肉汁がスゴい! 鶏肉本来の美味しさがしっかり溶け込んでいます。あっさりめの味付けなので、何個でも食べられそう。片栗粉のみのカリッとした衣が、この肉汁にじわじわ溶かされていく食感もいいですね。

店内には珍しいキムチがたくさん!
店内には珍しいキムチがたくさん!

 さて、ハフハフとからあげを楽しんでいたら、店主の矢ケ崎さんが、このキム唐の“開発秘話”を話してくださいました。

「唐辛子が入っているので、揚げたときにどうしても焦げてしまうんですね。何度もチャレンジしたのに焦げは解消されず。ついにキム唐の開発を断念し、肉を漬けダレに漬けたまま数日寝かせておいたんです。そしてそれをもう一度揚げてみたところ、なぜか焦げずに揚げることができたんです」とのこと。

「キムチのタレに漬けている間に発酵が進んで焦げにくくなったんでしょう」と矢ケ崎さんは笑います。“偶然の産物”とでも言いましょうか。それでも最終的にからあげ好きを唸らせる味に仕上げてしまうのは、さすがとしか言いようがありません。

 こちらはからあげ弁当も大人気で、このキム唐の弁当を数日続けて買いに来るお客さんもいるそうです。たしかにこのキム唐、ごはんの強力なパートナーになってくれそうです。

●SHOP INFO

やがちゃんキムチ外観

店名:やがちゃんキムチ

住:千葉県柏市豊四季508-16
TEL:0471-71-5701
営:10:30~20:00
休:日曜

※価格はすべて税抜

●著者プロフィール

松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。